講演会他

日機連講演会「機械安全に係わる新たな動き」を開催

 日機連では、国内産業への機械安全普及活動の一環として毎年度講演会を開催し、主要な国際規格を紹介する他、機械安全に関係する幅広い情報を発信している。

 28年度2回目は「機械安全に係わる新たな動き」と題して、平成29年3月9日(木)に浜離宮朝日ホール(中央区築地)において310名の参加者を得て開催した。

 

 本講演会では、向殿政男氏(明治大学名誉教授)が機械安全技術発展の状況を俯瞰し次の通り講演した。「人間が注意して安全を確保するのではなく、機械設備を安全化する技術(機械安全技術)が発展してIEC/ISO機械安全規格が作られるようになった。次に電気・電子に基づく安全(制御安全)が出てきてからコンピュータに基づく安全(機能安全)までをSafety 1.0と呼び、技術・人間・組織を統合・協調して安全を実現する時代をSafety 2.0と呼ぶ。それを実現するにはトップ(経営者)の決断が重要となる。人間と機械が共存・協調して安全を実現するためのICT、I o Tの技術が進歩し、それを支える制度・システムができあがってきている。人とモノと環境が協調して構築する協調安全(コラボレーション・セーフティ)は日本人が一番得意とする分野ではないかと思っている。」

 次に、清水尚憲氏(労働安全衛生総合研究所)が、単体の機械が組み合わされた複合的な作業空間における安全をどう作るかの調査研究について講演した。労働者保護という観点から新たに支援的保護システムというリスク低減の概念を国際提案することを目的とした3年計画の最終年度を迎え、28年度実施したカメラとICT技術を用いた実証実験の内容について報告するとともに、この調査研究の成果を日本からISOに提案し、TR(ISO/TR 22053)として開発することが決定、3月に開催されたISO総会において承認された、ことを発表した。

 最後に、角 保志氏(産業技術総合研究所)が、開発中の新たなセンサシステム規格(IEC 62998)について講演した。「IEC 62998とは各種センサ機器の組合せで、工場のような閉鎖された空間だけではなく、公共の空間などで単体の機器では出来なかった安全確保を機器の組合せで行うためのものである。この規格は1月にCD(委員会原案)が配布され、2018年発行予定である。」

 

 今回紹介した2つの規格は、人と機械が共存・協調して安全を実現するために開発中の規格である。今後の動きに注目したい。

 講演後の聴講者アンケートについては、貴重なご意見として今後の機械安全活動の参考とする。

 

講演会会場

議事次第

 

 

[講演概要]

1.主催者挨拶

[日本機械工業連合会 宮崎標準化推進部長]

 

2.機械と人間との協調安全に向けて (PDF 457KB)(禁無断転載)

〔明治大学  向殿 政男氏〕

・機械安全技術

・スリーステップ・メソッド

・Safety 2.0とは

・止めない安全

・安全の見える化

・コレボレーションフェールセーフ

・まとめ

 

3.支援的保護システム-規格化に向かって- (PDF 1,633KB)(禁無断転載) 

〔労働安全衛生総合研究所  清水 尚憲氏〕

・統合生産システムとは?

・保護装置と支援的保護システム

・今年度の実証実験

・UWBアクティブRFIDシステム

・国際規格(ISO/NR TR)への提案

 

明治大学 向殿政男氏

労働安全衛生総合研究所 清水尚憲氏

 

4.新たなセンサシステム規格の開発状況(IEC 62998) (PDF 879KB)(禁無断転載)

〔産業技術総合研究所 角 保志氏〕

・IEC 62998概要

・安全関連センサ(SRS)と安全関連センサシステム(SRSS)

・SRS/SRSSの設計・開発

・SRS/SRSSのインテグレーションと実装

・SRS/SRSSの運転、メンテナンス、改修、検証と妥当性確認、使用上の情報

 

産業技術総合研究所 角 保志氏

 

 この事業は、競輪の補助を受けて実施したものです。