講演会他
WEB講演会「機械安全IEC規格の紹介」
WEB講演会「機械安全IEC規格の紹介」を開催
日機連では、国内産業への機械安全普及活動の一環として講演会を開催し、主要な国際規格を紹介する他、機械安全に関係する幅広い情報を発信している。
今年度は第1回「機械安全ISO規格の紹介」に引き続き「機械安全IEC規格の紹介」と題して、2022年2月28日(月)に会員限定のWEB講演会を77名の参加者を得て開催した。
最初に、日機連が国内審議団体であるIEC/TC44(機械類の安全性-電気的側面)の概要と最新動向について、市川紀充氏(IEC/TC44部会主査 工学院大学)より紹介した。
一般的な規格開発の過程を紹介した後、労働災害として感電死亡災害があり、原因として電気設備の充電部への接近・接触により起こり、その割合は近年では感電死傷災害に対して10%くらいと言われている。また、防爆電気設備による工場の火災による災害等があり、着火源として機械的着火源(摩擦、衝撃火花など)・電気的着火源(電気機器や電気配線から生じる火花や熱、または静電気火花)・その他の着火源(裸火や高熱面や電磁波など)があり、建屋の焼失(例えば、ノートルダム寺院や首里城の焼失)があると報告した。
次に、真白すぴか氏(TR63074WG主査 東京エレクトロン㈱)より、TC44で開発された安全関連制御システムの機能安全に関するセキュリティ側面(IEC TR63074)の概要及びJIS化の状況を紹介した。背景としてConnected Fab、IIoT(Industrial Internet of Things)、Smart Manufacturing/Industrie 4.0などの進展により、機械のデータ・制御系の外部インターフェースが増えていく傾向に伴い、機械に対するセキュリティリスクは増加傾向であり、安全制御系の安全機能を妨げる可能性が高まっている。また、Securityが機械の安全関連制御システム(SCS)に影響を与えるモードは大きく分けると2通りあり、一つは脆弱性につけこまれてシステムが直接攻撃をうけ、SCSの果たすべき安全性能が低下・喪失する。もう一つはセキュリティのための対策手段によりSCSの動作に関わる通信に影響が出て安全機能の反応速度が低下し、SCSの果たすべき安全性能が低下・喪失する。
最後 に、制御システムのSecurityに関してはTC65に実績があり、またISO TC199でもISO12100によるリスクアセスメントプロセスにおけるセキュリティ側面のガイドISO TR 22100-4も発行されている。このような状況下、IEC TR63074を機械メーカーの役に立つTS、ひいてはISに発展させるためには、ぶれないSCOPEと周りとの調整が不可欠であると考えられると報告した。
講演後の聴講者アンケートは、貴重なご意見(興味のあるテーマ及び規格等)として今後の機械安全活動の参考とします。
[講演概要]
1.主催者挨拶 [日本機械工業連合会 宮崎標準化推進部長]
2.IEC/TC44の最新動向 (PDFファイル 1,485KB)(禁無断転載)
・IEC/TC44の担当範囲
・IEC/TC44の組織
・IEC/TC44部会(国内)活動概要
・感電災害
・防爆電気設備・爆発災害
・JIS制定・改正活動
(参考) IEC/TC44の規格とJIS
3.機能安全関連制御システムの機能安全に関するセキュリティ側面- IEC(JIS) TR63074-(PDFファイル 1,577KB)(禁無断転載)
1.はじめに:自己紹介
2.IEC TR63074開発の背景と動機
3.IEC TR63074開発経過
4.JIS化原案作成経過
5.IEC TR63074:2019及び
(JIS)TR63074の概要
6.IEC TR63074の課題
‐ ISO12100との関係
‐TC65担当Security規格との関係
7.TS化の動き
8.まとめ