講演会他
WEB講演会「機械安全JIS規格の紹介」を開催
(一社)日本機械工業連合会（日機連）では、国内産業界への機械安全普及活動の一環として講演会を開催し、主要な国際規格を紹介する他、機械安全に関係する幅広い情報を発信している。
今年度は第1回「機械安全JIS規格の紹介」と題して、2022年11月11日（金）にWEB講演会を152名の参加者を得て開催した。
最初に、8月に制定された取扱説明書－作成のための一般原則（JIS B 9719:2022）を内藤博光氏（JIS B 9719委員会主査 ㈱エヌ・エス・エス）より紹介した。ISO 20607:2019 (Safety of machinery – Instruction hand book – General drafting principles)の発行を受けてJIS化に向けJIS B 9719委員会を設置し、規格利用者側の見やすさ、使いやすさにポイントを置いて審議した。この規格は、ISO 12100に規定されているステップ１「本質的安全設計方策」、ステップ2「安全防護及び付加保護方策」を行い、ステップ3「使用上の情報」として十分にリスクを低減することができなかった場合、その残留リスクをマニュアル等でユーザーに提供しなければならない。この規格は残留リスクに関する情報を提供するために不可欠な原則を定めている。本講演では規格の内容に沿って補足説明を交えて報告した。
次に、8月に改正された両手操作制御装置－設計及び選択の原則（JIS B 9712:2022）を畑 幸男氏（JIS B 9712改正WG主査 ㈱機械安全実践技術）より紹介した。ISO 13851:2019（Safety of machinery – Two-hand control devices – Principles for design and selection）第2版の発行を受けて改正作業を行った。第１版では、安全要求事項の指標としてJIS B 9705-1:2000（制御システムの安全関連部－第1部：設計のための一般原則）によるカテゴリを使用していたが、関連規格の改正及び制定により第２版では、JIS B 9705-1:2019に基づくパフォーマンスレベル（PL・カテゴリ）、及び、JIS B 9961:2015に基づく安全インテグリティレベル（SIL・HFT）を採用していること、その他変更点・注意事項及びプレス機械における両手操作制御装置の適用事例を交えて報告した。
最後に、3月に制定された人の存在を検知する保護設備のアプリケーション（JIS B 9963:2022）を引き続き畑 幸男氏（JIS B 9963原案作成委員会委員長 ㈱機械安全実践技術）より紹介した。この規格は、2004年にIEC TS 62046（第1版）が標準仕様書として発行され、2008年に第2版、そして2018年に国際規格IEC 62046（Safety of machinery – Application of protective equipment to detect the presence of persons）第1版が発行されたことによりJIS化を制定した。規格の概要及び変更点を図を交えて紹介し、20年近くにわたる規格制定の歴史のなかで生産現場での検知保護設備の選定、詳細設計、設置に関して適用出来る有益な設計情報が示されている。是非とも、機械メーカー、機械ユーザー、設備インテグレーターの方々に、本規格を使用して他の機械安全規格と共に安全な設備の構築に役立てて頂きたいと報告した。
講演後の聴講者アンケートは、貴重なご意見（興味のあるテーマ及び規格等）として今後の機械安全活動の参考とします。
講演会次第
[講演概要]
１．主催者挨拶 [日本機械工業連合会 宮崎標準化推進部長]
２．取扱説明書－作成のための一般原則（JIS B 9719）（PDFファイル 2,339KB）（禁無断転載）
JIS B 9719（ISO 20607）の制定経緯
・ISO 12100 3ステップメソッドにおけるJIS B 9719の活用
・原則及び一般情報
・取扱説明書の内容及び構成
・言語及び表現の定式・様式の手引き
３．両手操作制御装置－設計及び選択原則（JIS B 9712） （PDFファイル 1,564KB）（禁無断転載）
1．ISO 13851, JIS B 9712改正履歴
2．JIS B 9712の規格概要
3．JIS B 9712：2022の主な変更点
4．両手操作制御装置のタイプ及び機能的特性の変更点
5．附属書A（規定）
6．両手操作制御装置のマーキング（箇条１０）
7．プレス機械における両手操作制御置の適用事例
４．人の存在を検知する保護設備のアプリケーション（JIS B 9963）（PDFファイル 2,824KB）（禁無断転載）
1．JIS B 9963:2022発行までの経緯
2．適用範囲
3．引用規格（機械類の安全性の規格）
4．保護装置の選定
・ミューティングセンサ依存式オーバライドの概念
5．一般的なアプリケーションにおる概要事項
6．特定の保護設備の特別なアプリケーションの要求事項
７．附属書A～D
８．最後に