要望・提言等

令和4年度 税制改正要望

令和4年度税制改正に関する機械業界の要望を提出

 日機連では、税制金融政策特別委員会(委員長・加藤信久 川崎重工業㈱ 執行役員 管理本部長)中心に令和4年度税制改正に関する日機連要望を検討、とりまとめ、10月18日(月)に経済産業省始め関係各省・各機関等に提出、その実現を要望した。

 

 要望内容は、重点要望項目とその他要望項目に区分けし、重点要望項目の中から最重点要望と位置付ける、「ポストコロナの経済回復、カーボンニュートラル実現のための基盤構築等に資する重要税制」として、①持続可能な地球温暖化防止対策の推進-カーボンニュートラルの実現に向けて、②デジタル化、カーボンニュートラル対応等に向けた設備投資促進税制の整備-ポストコロナの新たな経済成長に向けて、③経済の電子化に伴う課税上の課題への対応、④研究開発税制の拡充、の4項目を掲げた。

 

 また、その他重要項目で構成する「産業活力の維持・強化、二重課税の排除、効率化の推進などに資する税制」では、①繰越欠損金の扱いの改善、②納税事務の負担軽減及び時代に合わない課税制度の撤廃、③受取配当金の扱いの改善、④外形標準課税の廃止又は抜本的見直し、⑤グループ通算制度移行に伴う問題点の改善、⑥国際関連税制の見直し・改善、⑦地方法人課税制度の抜本的見直し、⑧会計基準変更への対応、⑨その他、の9項目である。

 

 その他、一般要望項目として、産業全般に関する税制14項目、税制の簡素化・合理化などその他の税制14項目、地方税関係10項目で構成している。

 

令和4年度税制改正に関する機械業界の要望

Ⅰ. ポストコロナの経済回復、カーボンニュートラル実現のための基盤構築等に資する重要税制

 

1. 持続可能な地球温暖化防止対策の推進-カーボンニュートラルの実現に向けて

(1) 持続可能で成長に資するカーボンプライシングが重要-負担増のみを強いる炭素税導入には反対
(2) 地球温暖化対策税の廃止を含めた抜本的見直し

 

2. デジタル化、カーボンニュートラル対応等に向けた設備投資促進税制の整備-ポストコロナの新たな経済成長に向けて

(1) 新たな成長に向けての設備投資の促進
(2) 5G投資促進税制の期限延長
(3) 償却資産課税の見直し
① 機械類等に対する固定資産課税の撤廃
② 償却資産税の評価額算定方式の見直し
(4) 減価償却の方法

 

3. 経済の電子化に伴う課税上の課題への対応

 

4. 研究開発税制の拡充

(1) 試験研究費の総額に係る税額控除制度(一般型)の拡充等
(2) オープンイノベーション型(特別試験研究費税額控除制度)の更なる要件緩和と拡充
(3) オープンイノベーション税制の期限延長及び拡充
(4) 研究開発専用設備及びソフトウエアの即時償却の容認
(5) 「パテントボックス税制」の動向への対応
(6) 組織再編があった場合の比較試験研究費について(分割・現物出資の場合の認定・届出におけるみなし規定の創設、現物出資の場合除外規定の創設)

 

 

Ⅱ. 産業活力の維持・強化、二重課税の排除、効率化の推進などに資する税制

 

1. 繰越欠損金の扱いの改善

 

2. 納税事務の負担軽減及び時代に合わない課税制度の撤廃

(1) 働き方改革にも資する納税事務負担の軽減推進
 ① 電子申告の進展に資する手続きの簡素化等
 ② 地方税の納税事務簡素化の推進
 ③ 法人税及び消費税、並びに源泉所得税の申告期限等の延長
 ④ 国と地方との連携強化
(2) 印紙税の廃止・抜本的見直し

 

3. 受取配当金の扱いの改善

 

4. 外形標準課税の廃止又は抜本的見直し

 

5. グループ通算制度への移行に伴う問題点の改善

(1) 試験研究費増額修更生に対応した控除額の増額処理の容認
(2) 地方税(法人住民税、法人事業税)におけるグループ通算制度の導入
(3) グループ離脱時における投資簿価の修正方法の見直し
(4) グループ通算制度対象子会社の拡大

 

6. 国際関連税制の見直し、改善

(1) 外国税額控除制度の見直し
① 控除限度額及び控除限度超過額の繰越期間の延長
② 控除限度超過額の繰越期間経過後の損金算入の容認
③ 外国税額控除の控除限度額の拡充
④ 外国税額控除に関する救済措置

 

(2)外国子会社合算税制の改善

①制度適用免除基準導入への対応-ホワイトリストの導入等
② 配当に係る持分割合基準の見直し
③ キャピタルゲイン特例についての要件緩和
④ 欠損金の合算の容認
⑤ 合算対象所得から除外される孫会社要件の緩和
⑥ 適用除外基準の拡充及び事前確認制度の導入
⑦ Passive Incomeに対する課税制度の簡素化
⑧ 部分合算課税の対象から除外する持分割合25%以上の判定の緩和
⑨ 特定外国子会社等の判定に関する明細書について

⑩研究開発など能動的な事業活動を行う場合の事業基準の見直し

 

(3)移転価格税制の見直し

①定義の明確化と運用環境の整備
② 調査における手続きのルール化
③ 事前連携の強化
④ APA(移転価格事前確認制度)の手続き、審査の迅速化
⑤ 持分基準の見直し

⑥移転価格文書化

 

(4)二国間租税条約の締結及び改定の促進等

①二国間租税条約の締結及び改定の促進
1 租税条約の早期締結
2 ロイヤリティ支払いでの源泉税相互撤廃に関する租税条約の改訂
3 配当免税措置に係る租税条約の改訂
4 「譲渡所得に関する源泉地国課税」制限の改訂
② 租税条約の適用を受ける支払に関する「租税条約に関する届出書」の提出要件の緩和
③ 租税条約上の技術役務対価条項について

 

(5) 国外子会社に係る受取配当金の益金不算入制度の改善

 

(6) タックスプランニングの義務的開示

 

7. 地方法人課税制度の抜本的見直し

 

8. 会計基準変更への対応

(1) 会計上の損失処理の容認

① 貸倒引当金制度廃止の見直し等
② 有価証券評価損の計上の容認等
③ 棚卸資産に係る評価損並びに固定資産の減損損失の損金算入
(2) 国際会計基準のコンバージェンスに伴う税制措置
① 減価償却費に係る損金経理要件の廃止
② 試験研究費の発生時損金算入
③ 排出量取引における費用計上時期について
(3) 収益認識に関する会計基準適用に際しての適切な配慮
(4) 会計上の減損損失の税務上の認容時期の明確化

 

9. その他

(1) 民法上有効な意思表示に基づく非関連者間の債権の切り捨て、債権放棄並びに債権譲渡の税務上の容認
(2) 子会社等の整理・支援損に係る取扱いの緩和
(3) 消費税仕入税額控除における95%ルールの復活

 

(国税関係)
1.産業全般に関する税制

(1) 企業年金積立金に対する特別法人税の廃止
(2) 合同会社(日本版LLC)税制の創設
(3) 適格組織再編に係る適格性判定要件の明確化及び緩和
(4) 時価評価算定方法の明確化
(5) 特定資産の買換えの場合の圧縮記帳制度の恒久化
(6) 確定拠出年金制度の改善
(7) 役員賞与の損金算入要件の緩和
(8) 業績連動型の譲渡制限付株式の損金算入
(9) 電話加入権の損金算入
(10) 連結経営における寄付金問題の明確化
(11) 有価証券の取得価額に含めるべきDD費用の範囲の明確化
(12) 連結納税下の組織再編税制の改善
① 無対価再編
② 譲渡損益調整資産(合併による連結子法人株式の消滅)
(13) 労働集約型産業の生産性向上および省人化推進の支援
(14) 税法における中小企業定義の見直し

 

2.税制の簡素化、合理化など、その他の税制

(1) 寄付金の損金算入枠の拡大
(2) 法人住民税均等割の損金算入
(3) 交際費損金不算入の不合理の改善
(4) 会社が負担する海外個人所得税の非課税化
(5) 国内源泉所得を租税条約の規定で読み替える場合の、駐在員事務所などでの設備の使用料の除外
(6) 事業再編における減価償却費・準備金繰入の期中損金算入など届出手続きの見直し
(7) 借地権課税における相当の地代価額の引き下げ
(8) 法人税法上、未経過固定資産税を資産の譲渡対価として扱わないことの通達による明確化
(9) 控除対象外消費税の損金経理要件の撤廃
(10) 税法上の繰延資産の範囲の明確化
(11) 税理士法の緩和
(12) 納税証明書取得の条件における、利子税・延滞税・延滞金既納条件の除外(緩和)
(13) 地方税及び延滞金等の一括還付制度の導入
(14) インボイス制度における請求書の消費税端数処理取扱いの容認

 

(地方税関係)

(1) 固定資産税・都市計画税の抜本的見直し
(2) 法人事業税並びに住民税法人税割の超過税率の撤廃
(3) 建設工事現場などの法人事業税・住民税に対する課税対象判定期間の改善
(4) 法人住民税均等割の適正課税
(5) 事業所税の廃止あるいは事業所税の免税点判定における「みなし共同事業」要件基準の見直し
(6) 連結納税法人に対する地方税中間申告の仮決算方式の導入
(7) 非住宅用地の固定資産税負担の適正化
(8) 地方税独自課税(法定外普通税等)への対応
(9) 事業税外形標準課税の見直し-付加価値割の算定方法の簡素化、資本割の課税標準の見直し
(10) 固定資産に係る評価時期の見直し