要望・提言等

重要部品等の中長期安定供給に関する懇談会政策提言

 世界的な景気回復や第四次産業革命の進展を背景に、生産設備等の需要が好調に推移する中、重要な基幹部品及び素材の納期が長期化し、一部で設備の製造に影響が生じている。このような重要部品等の逼迫は、景気の変動により今後も起こることが想定され、足下の対応だけでなく、中長期的な視点からの対応が必要と考えられる。

 そこで、この問題への対応のため、日機連を始め関係業界で重要部品等の中長期安定供給に関する懇談会を開催、検討した結果、以下の政策提言をとりまとめ、3月20日(火)、経済産業省へ提出、善処方を要望した。

 

 

重要部品等の中長期安定供給に関する懇談会 政策提言

 世界的な景気回復や第四次産業革命の進展を背景に、生産設備等の需要が好調に推移する中、重要な基幹部品及び素材(以下、「重要部品等」という。)の納期が長期化し、それらを製造するための機械の納期長期化へと繋がっており、機械産業に広く影響が生じている。

 最新鋭の生産設備が幅広い業種の製造工程に供給されることは、我が国製造業の国際競争力を維持強化するためだけでなく、我が国政府が推進する生産性革命やConnected Industriesの実現を図る上でも極めて重要である。

 重要部品等の供給企業においては、設備投資の前倒しや拡大、人員増強、拠点間の融通、重複発注の精査など、取り得る対策を既に実行に移している。また、需要側の機械製造企業においては、製品差別化に支障の出ないようにしながら仕様の統一や変更を行う、不急の見込み発注を慎むなどの対応を行っている。

 我々は、重要部品等の足下の逼迫の影響を緩和するため、前述のような努力を引き続き継続していく所存であるが、このような重要部品等の需給両サイドの関係企業の取組みを支援するような政策について、下記の通り提言する。

 

 

1.生産性向上のための施策

(1) 人手不足の製造現場をより一層自動化・効率化及び増産するための設備投資(ソフトウエア投資を含む)に対して税制、補助金等により支援を行うこと。

(2) 上記支援においては、その投資等が速やかに行われることが重要であるところ、企業の経営判断と連動して迅速に認可・採択されるような制度設計を行うこと。

(3) 重要部品生産に必要な素材や製造設備の調達が製造の律速にもなっているところ、これら素材や製造設備の調達の円滑化についても必要な施策を講ずること。

 

2.人材の確保及び育成のための施策

(1) 重要部品等の製造に必要な人員の確保及び育成に対して支援を行うこと。

(2) 労使合意の下における柔軟な残業時間の上限の設定を認めるなど、緊急時における労働基準の一時的な弾力的運用を認めること。

 

3.中長期安定供給を支える取引環境の整備

(1) 今般の問題の根底に、供給企業側の人手不足が要因の一つとしてあることを踏まえ、需要企業及び供給企業の双方が、労務費上の課題への対応の必要性についての問題意識を共有し合うこと、型管理の適正化を推進することなどを含めて未来志向型の取引環境の整備に向けて、政策面においてもその円滑化に取組むこと。

(2) とりわけ、産業機械分野における業種別下請取引ガイドラインを不断に見直し、PDCAサイクルを回すこと。

 

4.既存施策との整合

(1) 当該重要部品等について政策的な位置づけを与え、他施策を整合的に制度設計し運用すること。

(2) 生産設備の納期が長期化している現状を踏まえ、設備導入に対する支援施策が有効に機能するよう、例えば補助事業の事業期間を十分に設ける等の弾力的運用を行うこと。

 

[連名団体]

一般社団法人 日本機械工業連合会、一般社団法人 日本工作機械工業会、一般社団法人 日本工作機器工業会、一般社団法人 日本鋳造協会、一般社団法人 日本半導体製造装置協会、一般社団法人 日本木工機械工業会、一般社団法人 日本ロボット工業会、一般財団法人 素形材センター

 

〔総務部〕