要望・提言等

我が国企業の競争力強化に向けた令和9年度税制改正共同要望を提出

 日機連では、製造業関連団体で組織する「製造業等税制研究会」の加盟団体と協力し、7団体連名にて「我が国企業の競争力強化に向けた令和9年度 税制改正共同要望」を策定、経済産業省に提出、その実現を要望した。

 

 以下、要望書

 

 我が国経済は、デフレを脱却し、一定の回復を見せたものの、米国の関税政策、中東情勢の緊迫化等に伴う資源・エネルギー価格の上昇などの地政学的リスクの高まりから、先行きに対する不確実性がますます高まっている。我が国経済の持続的な成長を確たるものとするためには、国際環境下で競争する我が国企業の研究開発、設備投資及び生産・販売活動等を強力に支援する措置が必要である。骨太方針2026および日本成長戦略では、『責任ある積極財政』という考え方の下、危機管理投資や成長投資を官民が一体となって大胆かつ戦略的に進める「強い経済」の好循環を目指し、17の戦略分野への投資促進策等を含めた実行計画として官民投資ロードマップが策定された。

 その方針に沿って、令和9年度税制改正では、以下の内容を製造業関連7団体の共同要望とする。

 なお、我が国企業の国際競争力を確保し、積極的な国内投資や賃上げの好循環を促す観点から、実質的な税負担の適正化に向けて、法人実効税率については、国際的な最低税率の合意レベルも勘案し、競争企業の成長著しい近隣アジア諸国やOECD主要国の水準を踏まえ、25%程度へ着実に引下げるとともに、税収中立の制約の下で拡大された課税ベースについても適正化が必要である。

 

1.GX等に向けた設備投資関連税制の拡充

 令和6年度税制改正で創設された戦略分野国内生産促進税制は、GX等の戦略分野のうち、総事業費が大きく、特に生産段階でのコストが高いもの(現行の対象物資:電気自動車、グリーンケミカル、SAF、半導体、グリーンスチール)について、生産・販売量に応じて、10年間の税額控除を講ずる投資促進策として、画期的な措置であるが、これら対象物資に係る設備投資のOPEXの上昇を支援する長期的な制度であることも踏まえ、その実効性の観点から、まずは認定期間を延長すべきである。加えて、適用期間、控除上限、対象物資などについて見直し・拡充を要望する。

 併せて、中長期的な予見可能性の担保の観点から、戦略分野国内生産促進税制に係る租税特別措置の不適用措置に係る要件について見直しを要望する。

また、令和8年度税制改正で創設された大胆な投資促進税制についても、我が国企業の持続的な成長と国際競争力の強化のために、生産性向上や供給力強化につながる国内投資を幅広く後押しする成長戦略の観点から、更なる対象拡大に向けて、投資下限の引き下げ等、適用要件の緩和について継続的に検討すべきである。

 

2.企業の研究開発投資およびイノベーション促進に向けた研究開発税制の拡充

 我が国製造産業における研究開発は、革新的な技術・製品の創出を通じて産業競争力を強化するとともに、経済安全保障及び持続的成長を支える基盤となっている。グローバルな技術開発競争が激化する中、AI・量子・半導体・GX・デジタル等の戦略分野をはじめ、研究開発活動やイノベーションを一層加速させることが重要であり、企業努力に加え、税制面での継続的な後押しが必要である。

 研究開発税制については、令和8年度税制改正において、増加インセンティブ強化等の観点から、一般型の税額控除率等の見直しが行われるとともに、AI・量子・バイオ等の国家戦略上重要な技術分野への研究開発を促進する観点から戦略技術領域型が創設された。

 その上で、資源・エネルギー安全保障・GXが「危機管理投資」・「成長投資」の戦略分野に位置づけられ、2050年カーボンニュートラルの実現が国家戦略として掲げられていることを踏まえれば、経済安全保障に資する研究開発や脱炭素化に資するGX関連技術についても、戦略技術領域型に追加すべきである。また、税額控除限度超過額に係る繰越制度については一般型にも拡充するとともに、税額控除率や控除上限についても国際的に優位な水準に見直すなど、制度の拡充が必要である。

 

3.事業ポートフォリオの転換・強化を促す税制措置の創設

 企業の「稼ぐ力」を強化し、持続的な賃上げや成長投資の原資を確保するためには、経営資源の最適配置を通じた資本効率の向上と投下資本の拡大が重要である。事業ポートフォリオの見直しや事業再編による成長投資を促進する観点から、こうした取組みに伴う税負担を軽減する税制措置を創設し、企業による果断な構造改革と成長分野への資金循環を後押しすべきである。

 

4.償却資産に対する固定資産税の廃止

 企業の設備、機械・装置等の償却資産の保有に課されている固定資産税は、国際的に極めて稀な制度であり、我が国製造業にとって国際的なコスト競争力を損なう大きな要因となっている。また、政権の「危機管理投資」・「成長投資」の推進という政策方向にも逆行しており、我が国製造業におけるサプライチェーン全体の国際的なコスト競争力の観点や、政府が推進する17分野の成長戦略を「勝ち筋」として確実に推し進めるためにも、撤廃に向けた抜本的な見直しを要望する。

 少なくとも、国内投資拡大の緊急性・重要性に鑑み、新規に取得した償却資産に係る固定資産税については即時に免税とすべきである。

 

5.国際課税制度の見直し

 デジタル経済の広がりに対応した新しい課税ルールの国際合意がなされ、日本においても、令和5年度税制改正以降、国際最低法人税率(グローバル・ミニマム課税:Pillar2)に係る国内法制化が行われている。その中で、米国が国際ルールと距離を置き、報復措置案を表明する等の動きもみられたが、新たに、グローバル・ミニマム課税と米国を含む一定の要件を満たす国の制度との共存システムが合意された。今後も引き続き、企業活動の妨げとならないよう、国際的な協調体制の下で推進していく必要がある。

 日本の税制においても、グローバル・ミニマム課税と重複感のある外国子会社合算税制(CFC税制)については、目的外の増税や二重課税とならないよう、また、制度の重複や複雑化を回避し、我が国納税者にとって過度な事務負担とならないよう、見直しが必要であることから、適用免除税率の引下げ(現行の20%以上から15%以上)、当該国の連結納税グループ単位での判定やグローバル・ミニマム課税で用いられる情報・計算結果の利活用を認める等の簡素化を行うべきである。

 

[連名団体]

 (一社)日本化学工業協会、(一社)日本機械工業連合会、(一社)日本造船工業会、(一社)日本鉄鋼連盟、石油化学工業協会、石油連盟、日本製紙連合会

 

                                                                以上