要望・提言等

令和7年度 税制改正要望

令和7年度税制改正に関する機械業界の要望を提出

 日機連では、税制金融政策特別委員会(委員長・今井一朗川崎重工業㈱執行役員管理本部長)中心に令和7年度税制改正に関する日機連要望を検討、とりまとめ、9月18日(水)に経済産業省始め関係各機関等に要望書を提出、その実現を要望した。

 

 要望書は、(1)GX、DXに向けた設備投資関連税制の拡充、改善、(2)研究開発税制の拡充等、(3)経済のデジタル化に伴う新たな国際課税制度への対応、の3項目から構成している。

 

 

令和7年度税制改正に関する機械業界の要望

 一般社団法人 日本機械工業連合会は、機械工業関連の47会員企業及び47会員団体で構成する総合団体として、令和7年度税制改正に関して、経済安全保障も踏まえ、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)を念頭に、産業界には国内投資の具現化が求められている中、産業界全体でイノベーションを起こし、生産性を向上させ、グローバル市場における日本企業の競争力を強化するための税制上の支援策として下記税制項目の実現を強く要望する。

 

(1) GX、DXに向けた設備投資関連税制の拡充、改善

 2050年のカーボンニュートラル目標、デジタル田園都市国家構想等により産業界にはGX、DXに向けた設備投資の大幅拡大が求められ続けているものの、「令和5年度 年次経済財政報告」では、日本はG7で2番目にヴィンテージが長くなっていると分析されている。経済のデジタル化、カーボンニュートラルの実現、経済安全保障の観点も踏まえたサイバーセキュリティーの確保や国内外におけるサプライチェーンの複数化・強靱化の対応等の新たな課題の解決に向けて、レガシー設備の更新は生産性向上や所得増加につながる重要な課題となっていることから、企業の設備投資を後押しする設備投資促進税制の拡充、改善について要望する。

 

 特に、令和6年度末に適用期限を迎える「DX投資促進税制」については、期限延長及び適用要件の緩和・対象の拡大(生成AIを活用した社内生産性向上や顧客との協創)等の制度拡充を求める。期限延長においては、昨年度改正におけるカーボンニュートラル投資促進税制にて、認定から設備導入までの期間も踏まえて対応頂いた措置同様に、適用期間を計5年として頂きたい。

 

 また、機械類等に対する固定資産税の課税は、中小企業に限定しつつ令和6年度末まで軽減が図られているが、本来機械類等への償却資産課税は国際的に見て極めて異例の税制であり、我が国産業の国際競争力を低下させるとともに、設備投資促進の大きな阻害要因であり、大企業も含め撤廃されることを強く要望する。

 

(2) 研究開発税制の拡充等

 研究開発はイノベーションを加速させ、我が国の経済発展の源泉となっている。研究開発は時間と資金を要する長期的な取り組みであり、企業の研究開発投資マインドを後押しする税制措置や優遇制度の長期的な見通しと安定性を確保して頂きたい。これにより、企業は将来の研究開発計画を立案しやすくなり、持続的なイノベーション活動を展開することが可能となる。

 

 昨年度税制改正において、イノベーションの国際競争が激化する中、特許やソフトウェア等の知財から生じる所得に減税措置を適用するイノベーションボックス税制が創設されたものの、その対象は令和6年4月1日以後に取得した特許権、AI関連のソフトウェア著作権のライセンス所得・譲渡所得と限定的であり、当該知財が組み込まれた製品・サービスの売上所得などは対象外となっている。

 

 当該税制の活用頻度向上のため、対象の拡大、及び手続きの簡素化による企業の事務負担軽減を求める。

 

(3) 経済のデジタル化に伴う新たな国際課税制度への対応

 OECDの主導により進められてきた経済のデジタル化に伴う課税上の課題に関する国際合意を受け、その実施に向けて対応が進められている。

 

 「市場国への新たな課税権の配分(第1の柱)」と「グローバル・ミニマム課税(第2の柱)」の2つの柱からなる本国際合意のうち、第2の柱は、我が国企業の国際競争力に大きな影響を及ぼすことから、国内法制化に当たり、簡素化や合理化を図り、企業の負担軽減及び二重課税の防止の確保が重要と考える。

 

 現在、令和6年度税制改正を受けて所得合算ルールを中心に作業が進められているが、「グローバル・ミニマム課税」の更なる簡素化及び明確化の実現を求めたい。とりわけ、同課税の類似措置である「外国子会社合算税制(CFC税制)」では、対象企業に対して複雑な手続きや報告義務が追加的に課されることとなり、企業の事務負担が増大する。企業のリソースを効果的に活用し、競争力を高めるためには、このような事務負担の軽減が不可欠である。課税に関する報告義務を合理化し、煩雑な手続きの簡素化を図るなど、CFC税制を見直すと共に、企業が法令を遵守しやすくなるような明確かつ実用的なガイドラインを作成頂きたい。

 

 また、第1の柱の「市場国への新たな課税権の配分」でも、報告義務の緩和及び経過措置の導入など、企業の負担軽減をお願いしたい。

 

 加えて、多くの企業が海外に拠点を持ち、グローバルなビジネスを展開しているが、その際に移転価格税制に関する二重課税が問題となっている。新たな国際課税制度が導入される中、明確なルールの確立や統一的なガイドラインの策定により、二重課税の防止や簡素化などの改善策が実現されることを求める。

 

 

その他、印紙税廃止、INVOICE制度の要件緩和等、税制における事務負担軽減の観点についても考慮願いたい。

 

以上