令和３年度 優秀省エネ脱炭素機器･システム表彰機器

　当連合会では、昭和５５年度より国の省エネルギー推進政策に協力して、機械工業の立場からこれを推進するため、優秀な産業用省エネルギー機器を開発し、実用化した企業等を表彰する「優秀省エネ機器・システム表彰」を実施してきました。本表彰は、我が国の２０５０年カーボンニュートラル宣言を受け、令和３年度から表彰名を「優秀省エネ脱炭素機器・システム表彰」に改め、従来の省エネ機器・システムに加え、優秀な脱炭素機器・システムも表彰対象と致しました。

　令和３年度は幅広い分野から応募を頂き、当会内に設置した「優秀省エネ脱炭素機器・システム審査特別委員会」（委員長・松本洋一郎 東京大学 名誉教授）および幹事会（幹事長・筒井康賢 高知工科大学 名誉教授）において慎重な審議を重ね、別表のとおり表彰機器として９件を選定しました。

　経済産業大臣賞には、「三菱重工エンジニアリング株式会社」から申請のあった「新開発アミン吸収液を採用したCO2回収システム（KS-21TM吸収液を採用したAdvanced KM CDR ProcessTM）」が選定されました。

【本機器の選定理由】

　1990年から関西電力株式会社と共同でCO2回収技術の開発に取組み実用化してきたが、より揮発性が低く、劣化に対する安定性が高いCO2吸収液(KS-21TM)を新たに開発した。温暖化対策を進める世界各国のCCSやCCUSプロジェクトに応えるために、申請者は、この吸収液を採用した従来よりも大幅にコストを低減したCO2回収システムを開発した。

　従来のCO2回収システムでは、ベンチスケールから大型商用機までのプロセススケールアップを実現してきた。その実機経験から冗長性を低減するとともに、以下の技術改良によりコストを低減した。①冷却塔を新設計によりコンパクト化、②設計最適化による吸収塔高さの低減、③内部構造の見直しにより再生塔径を低減、④モジュラー設計により建設コストを低減した。更に、⑤新たに開発した吸収液(KS-21TM)により再生塔の運転圧力を高くすることが可能となり、CO2圧縮機動力を10%～15%低減できたことから、CO2圧縮機の費用も低減した。

　世界各国で進められるCCSやCCUSプロジェクトに対して、価格を抑制したCO2回収システムを供給することは地球温暖化を防止する上で非常に重要である。本システムでは、新たに高性能のCO2吸収液を開発するとともに、過去の運転実績から従来のシステムを見直しコストを低減したことが高く評価できる。

　以上、本申請機器は、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に大いに寄与するとともに、今後の普及が見込まれ、書面審査、ヒヤリング審査、現地調査審査ともに評価が極めて高く、その開発技術は優れた脱炭素技術として今後著しい経済的・社会的貢献を達成できると思われるため、経済産業大臣賞として決定されました。

　また、資源エネルギー庁長官賞には「株式会社アンレット」の「非接触シールを採用した高効率排水処理用ルーツブロワ（BO型）」及び「郵船出光グリーンソリューションズ株式会社」の「ボイラ燃料制御最適化システム (ULTY-V plus)」、中小企業庁長官賞には「高丸工業株式会社」の「レーザー式ホタテ貝殻穴開けロボットライン」、産業技術環境局局長賞には「川重冷熱工業株式会社」の「ドライ式低NOx水素専焼小型貫流ボイラ」が選定されました。

　その他の４件はいずれも日本機械工業連合会会長賞となります。

• 第41回(令和3年度) 優秀省エネ脱炭素機器･システム表彰の概要（全受賞機器パンフレット　PDF：5.41MB）

　なお、２月１５日（火）、午後１６時から機械振興会館で表彰式を行う予定です。

＊受賞機器の詳細については、表彰機器名をクリックしてご覧ください。

注）資源エネルギー庁長官賞、日本機械工業連合会会長賞の表彰機器・システムは応募受付順

　この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。