要望・提言等
令和9年度 税制改正要望
令和9年度税制改正に関する機械業界の要望を提出
日機連では、税制金融政策特別委員会(委員長・今井一朗 川崎重工業㈱ 取締役)中心に令和9年度税制改正に関する日機連要望を検討、とりまとめ、9月14日(月)に経済産業大臣以下、経済産業省幹部を中心に、財務省、総務省、環境省等の関係省庁、日本経団連等の関係各機関等に要望書を提出、その実現を要望した。
要望書は、(1) 研究開発税制の拡充等、(2)GXに向けた設備投資関連税制の拡充、改善、(3)経済のデジタル化に伴う新たな国際課税制度への対応、の3項目から構成している。 今後は、当会の要望項目の実現に向けて、陳情活動を展開することとしている。
要望書の全文は以下の通り。
令和9年度税制改正に関する機械業界の要望書
足元では、世界的に脱炭素政策や通商政策を巡る不透明感が高まりつつある一方、各国ではGX・DX・経済安全保障を軸とした産業支援策や投資誘致競争が一層激化している。我が国においても、2050年カーボンニュートラル目標の実現、持続的な賃上げ、生産性向上及び経済安全保障強化に向け、産業界による大胆な国内投資、研究開発投資及び設備更新投資の継続的な拡大が不可欠となっている。そのため、企業による中長期的かつ積極的な投資を後押しする税制面での支援をはじめとする事業環境の整備が強く求められている。
一般社団法人 日本機械工業連合会は、機械工業関連の47会員企業及び43会員団体で構成する総合団体として、我が国産業の国際競争力維持・強化及び国内産業基盤の強靭化を図る観点から、令和9年度税制改正に関し、研究開発投資、GX・DX関連投資及び国内設備投資を力強く後押しし、産業界全体のイノベーション創出、生産性向上及び国内立地維持・強化につながる税制措置として、下記項目の実現を強く要望する。
(1) 研究開発税制の拡充等
研究開発は、AI・量子・半導体・GX・デジタル等の戦略分野における我が国産業競争力の源泉であり、経済安全保障及び持続的成長を支える基盤である。特に機械産業界においては、カーボンニュートラル対応、生産性向上、省人化・自動化、サプライチェーン強靭化への対応が急務となっているほか、水素・アンモニア、CCUS、資源循環等のGX関連技術の実装を支えるため、継続的かつ大規模な研究開発投資を後押しする税制環境の整備が不可欠である。
研究開発は長期・大型化する傾向にあり、投資回収までに長期間を要することから、企業が中長期的な研究開発計画を安定的に策定できるよう、研究開発税制及び関連優遇措置について、長期的な制度安定性・予見可能性を確保して頂きたい。
国家戦略上重要な技術分野については、諸外国における巨額支援策との競争が激化している。このような状況を踏まえ、令和9年度からの創設が決定された「戦略型技術領域」に係る新たな税制措置については、我が国企業による積極的な研究開発投資を促進する観点から、新たな戦略分野として経済安全保障に資する研究開発テーマを追加することなども含めた対象領域の最大限の拡充、認定要件の緩和、申請・審査手続の簡素化を図るとともに、十分な税額控除水準及び使い勝手の良い制度設計として頂きたい。
加えて、「研究開発税制(一般型)」は、我が国企業の研究開発投資を下支えする基幹税制であり、近年の物価上昇、人件費増加、研究開発コストの高騰等を踏まえると、その重要性は一層高まっている。また、「研究開発税制(オープンイノベーション型)」は、産学官連携やスタートアップ連携を促進し、我が国のイノベーション基盤強化に資する重要な制度である。今年度改正後の制度水準を維持するとともに、更なる縮減や要件厳格化を行うことなく、我が国企業の研究開発投資を安定的に下支えする制度として頂きたい。
(2) GXに向けた設備投資関連税制の拡充、改善
我が国生産現場における設備老朽化は深刻な状況にあり、2023年度経済財政白書において、日本の設備ヴィンテージはG7で2番目に長いと分析されている。また、第7次エネルギー基本計画においても、新規設備導入や省エネルギー投資の重要性が指摘されている。レガシー設備の更新は、生産性向上、労働力不足への対応、DX・GX推進、エネルギー効率改善及び経済安全保障強化等に直結する重要課題であり、我が国産業の国際競争力維持・強化の観点からも、企業の設備投資を強力に後押しする税制措置の拡充・改善を要望する。
また、令和8年度税制改正において創設された「大胆な投資促進税制」は、国内投資拡大、GX・DX推進、サプライチェーン強靭化及び持続的な賃上げの実現を支える重要な制度である。足元では、資材価格・建設コスト・人件費等の高騰に加え、設備導入の長期化やサプライチェーン制約等により、企業の投資負担及び不確実性が増大している。このため、今後予定される租税特別措置の見直し議論においては、制度の実効性を損なうような更なる要件厳格化や対象縮減を行うことなく、企業が中長期的な見通しのもとで大胆な設備投資を計画・実行できるよう、制度の安定的維持、企業活動の実態に即した柔軟な制度運用を図るとともに、必要に応じた要件見直し及び申請・認定・証憑管理等に係る手続の簡素化を要望する。
特に、大規模設備投資は、検討開始から稼働まで長期間を要するケースが多く、建設遅延や部素材調達制約等の影響も受けやすいことから、企業の予見可能性を高める弾力的な制度運用が必要である。米国を始め、各国において大規模な産業支援策・投資促進策が講じられる中、企業による国内設備投資及びマザー工場・研究開発拠点の国内立地を維持・強化することが喫緊の課題となっている。大型設備投資や構造改革投資は、検討から投資回収まで長期間を要するため、設備投資関連税制について、中長期的に安定した支援制度として整備・運用して頂きたい。
さらに、機械装置等に対する固定資産税(償却資産課税)については、中小企業向けの軽減措置は講じられているものの、設備投資そのものに継続的な課税を行う制度は国際的にも極めて異例であり、我が国産業の国際競争力低下や国内投資抑制の大きな要因となっている。特に、再生可能エネルギー設備、蓄電池、水素関連設備等のGX投資は巨額化・長期化する傾向にあり、償却資産課税が投資採算性を大きく悪化させている。このため、GXを先導する大企業も含め、償却資産課税の撤廃又は抜本的見直しを行い、GX・DX関連投資を促進する税制環境を整備して頂きたい。
(3) 経済のデジタル化に伴う新たな国際課税制度への対応
経済のデジタル化や企業活動のグローバル化の進展を背景として、OECD/G20を中心に新たな国際課税ルールの整備が進められている。一方で、第二次トランプ政権による国際課税枠組みからの距離感の変化等を受け、各国の制度運用や国際的な足並みには不透明感が増しており、企業の事業環境に大きな影響を与えている。我が国企業が国際競争力を維持しつつ、安定的かつ予見可能性の高い事業運営を行うためには、国際的な制度調和及び企業実務に配慮した制度設計が不可欠である。
このため、国際課税制度の見直しに当たっては、企業が円滑に事業計画・投資計画を策定できるよう、十分な準備・移行期間を確保するとともに、各国で統一的かつ明確なルール・ガイドラインを整備し、制度の透明性及び予見可能性を向上して頂きたい。また、制度導入が企業に対する目的外の増税や過度なコンプライアンス負担につながることのないよう、二重課税の確実な排除及び制度・手続の簡素化を強く要望する。
特に、第2の柱への対応として導入が進められている「グローバル・ミニマム課税」については、計算・申告実務が極めて複雑であり、企業に過大な事務負担を生じさせている。このため、各種報告義務・添付資料の簡素化、税率計算方法及び情報申告要件の更なる明確化等により、企業実務負担の軽減をお願いしたい。また、各国制度差異や解釈相違に起因する二重課税リスクを回避するため、更には海外支店を活用した大型インフラ案件やプラント案件等において、課税年度ごとの損益状況によって企業の事業実態に即さないトップアップ課税が生じることのないよう、海外支店に係る実効税率計算及びトップアップ税額算定も含めて、OECDにおける執行ガイダンス及びモデルルールの更なる明確化・統一化を進めて頂きたい。特に、現地政府による租税減免措置が講じられている案件やODA関連案件等については、課税の予見可能性を確保し、その政策目的や事業実態を踏まえた合理的な取扱いとなるよう配慮を求める。
「外国子会社合算税制(CFC税制)」については、グローバル・ミニマム課税の計算方法や必要情報の利活用、適用免除税率の引き下げ(20%から15%へ変更)などによる企業の事務負担軽減を求めるとともに、「日本の課税ベースの浸食を確実に防止する」という制度本来の目的を軸とした、目的外の増税や過剰な合算課税の見直し(海外M&Aにより取得した外国関係会社等の取扱いの見直しや経済活動基準における実体基準・管理支配基準の取扱いの明確化、受動的所得における除外規定等の見直し等)を求める。
〔企画部〕
