平成29年度の生産動向

-平成29年度-

(調査時点平成29年6月)

 

●一般機械

 一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)2.3%増の14兆2210億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。ボイラー・原動機は、ボイラー・タービンが海外の受注が堅調なことから伸びが期待でき、はん用内燃機関はガソリン機関が減少するものの、ディーゼル機関、ガス機関は増加を見込み、ボイラー・原動機全体で3.6%増。土木建設機械は、国内が排ガス規制前の駆け込み需要の反動減が落着き、底堅く推移すると見込まれるものの、海外は、中国向けの回復が期待されるが、不透明な要素もあり、0.9%減。印刷・製本・紙工機械は、国内が先端設備を中心に微増、海外は中国、欧米向けが緩やかに持ち直すと見込み、1.1%増。油空圧機器は、油圧機器が国内は微増、海外は欧米が堅調、中国はショベル需要に期待でき、空気圧機器は国内が更新需要、海外は欧米が堅調、中国は高騰する人件費に対応するための省力化や省エネルギー投資の増加に期待できることから、全体で3.5%増。ロボットは、国内が堅調、海外は中国向けの回復により、自動車、電機を中心に伸びが見込まれ、6.6%増。動力伝導装置は、スチールチェーンが自転車用は好調、自動車用も伸びが期待でき、搬送用は物流の拡大で伸びが見込まれ、歯車は増加、変速機は輸出に牽引され伸びが見込まれ、全体で3.9%増。農業用機械器具は、国内が前年度並み、海外は欧米が農作物価格の下落によりやや厳しいと見るが、アジアは稲作、畑作向けで伸びを見込み、全体で5.0%増。金属工作機械は、前年度からの回復に加え、国内外共に高度な技術を駆使した自動化、省力化のための新たな生産体制の構築や自動車向けの環境対応需要に期待できることから、13.3%増。第二次金属加工機械は、液圧プレスや機械プレス等の回復が見込まれ、20.9%増。繊維機械は、準備機械、織機が大幅に減少するものの、化学繊維機械、紡績機械、編組機械が増加し、全体では1.1%増。食料品加工機械は、製パン・製菓、乳製品加工向けで伸びが見込まれ、0.8%増。包装機械・荷造機械は、国内が設備投資は一巡したと見られるが、海外は中国を中心としたアジア向けで緩やかな伸びを見込み、0.5%増。木材加工機械は、木造住宅部材加工用のプレカット機械の伸びが見込まれ、4.9%増。事務用機械は、国内生産回帰の動きが一段落したものの、アジア新興国向けに期待できるが、一部品目が統計から除外されたこともあり、6.6%減。ミシンは、工業用ミシンが横ばい、家庭用ミシンは欧米向けが回復傾向にあり、0.5%増。冷凍機・同応用装置は、冷凍機が増加を見込み、冷凍機応用製品等は高水準の生産が続いているものの、夏季の気候により増減することから現況は厳しく見込み、全体で横ばい。半導体製造装置及びFPD製造装置は、半導体製造装置が引き続きファウンドリや大手ロジックメーカーの底堅い微細化投資に期待でき、FPD製造装置は高精細・中小型パネル用の投資が見込まれるものの、高水準だった昨年度からの反動減を勘案し、2.9%減少の見通しである。  

(平成29年度)

 

●電気機械

 電気機械の生産額は、前年度比(以下同様)2.9%増の7兆7353億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。回転電気機械・静止電気機械器具・開閉制御装置は、回転電気機械のうち交流発電機は海外向けが減少、交流電動機やサーボモータは世界経済の緩やかな回復により増加、静止電気機械器具のうち変圧器は国内電力向けで増加、電力変換装置は国内電力、鉄道向けで増加、開閉制御装置のうち閉鎖型配電装置は減少、監視制御装置は電力・製造業向けで増加、低圧開閉器・制御機器は増加が見込まれ、3.2%増。民生用電気機械は、大容量、高機能、高付加価値製品で伸びが見込まれ、0.6%増。電球は、引き続き生産拠点の海外シフトや光源一体形LED照明器具の普及の影響を受け、一般照明用電球、電球形蛍光ランプが減少すると見込まれ、3.1%減。電気計測器は、工業用計測制御機器が減少するものの、電気計器、電気測定器、放射線計測器、環境計測器は増加し、全体では1.1%増加の見通しである。

(平成29年度)

 

●情報通信機械

 情報通信機械の生産額は、前年度比(以下同様)0.1%増の3兆473億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。民生用電子機器は、薄型テレビが五輪に向けての買替需要を見込むものの、生産の海外移転が進み、デジタルカメラは一眼レフで伸びが期待でき、カーナビゲーションシステムは高機能化による生産増を見込み、全体では2.9%増。通信機器は、有線通信機器のうち有線端末機器がボタン電話装置の更新需要が継続し電話応用装置が増加、有線ネットワーク関連機器は局用交換機やデジタル伝送装置の減少、構内用交換機は更新需要が一巡し、ネットワーク接続機器はデータトラフィック増による需要増が見込まれるものの、生産の海外シフトや海外からの輸入品が増加し、一方、無線通信機器は携帯電話が増加、無線応用装置は減少を見込み、通信機器全体では2.2%減。電子計算機及び関連装置は、パソコンが新OSの本格普及に伴う法人向けを中心とした買換需要や、ユーザーや販売店からのカスタマイズ・短納期要求に対応するための国内生産を拡大する動きもあることから、全体で1.6%増加の見通しである。 

(平成29年度)

 

●電子部品・デバイス

 電子部品・デバイスの生産額は、前年度比(以下同様)10.1%増の7兆9966億円となる見通しである。

 海外の多機能携帯電話向けの増加、電装化率の高まりによる自動車向けの需要増等を背景に、電子部品がセラミックコンデンサを中心とした受動部品の増加、半導体はメモリやCCDの増加、液晶デバイスは多機能携帯電話向けの中小型の伸長により増加を見込んでいることから、電子部品は6.1%増、電子デバイスは12.1%増加の見通しである。 

(平成29年度)

 

●輸送機械

 輸送機械の生産額は、前年度比(以下同様)1.0%増の32兆5356億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。自動車は、国内がエコカー減税の基準強化等によりやや厳しいものの、輸出は米国が底堅く、欧州も堅調が期待され、自動車全体では0.9%増。自動車部品は、輸出の伸びに期待し、2.0%増。産業車両は、8月末に迎えるディーゼル車の排出ガス規制猶予期間終了によるフォークリフトの駆け込み需要と、慢性化する物流業界の人手不足による需要増が見込まれ、全体では2.4%増。鋼船は、当面の手持ち工事を確保し、海運・造船市況に明るい兆しが見られることから、操業を緩やかに上げていくことが見込まれ、3.2%増。航空機は、引き続き比較的高水準の生産が続くものの、民間向け機種の端境期における減少等もあり、内訳としては、機体、発動機、装備品が増加、機体部品、発動機部品は減少し、全体では4.5%減少の見通しである。  

(平成29年度)

 

●精密機械

 精密機械の生産額は、前年度比(以下同様)0.6%増の1兆4758億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。計測機器は、計量機器の試験機や精密測定機器が国内外ともにユーザー業界の伸びが期待でき、分析機器は医用分析機器が微増、電磁気分析機器、分離分析機器はほぼ横ばいを見込み、光学測定機は国内が増加、輸出は欧米、中国に不透明感があるものの画像測定機増加に伴い増加、測量機器は建設向けの増加を見込み、全体で2.5%増。光学機械は、写真機が3.5%減、望遠鏡・顕微鏡が工業用顕微鏡は減少するものの、生物顕微鏡の伸びが見込まれ1.1%増、カメラの交換レンズ・付属品が3.6%減、全体では2.9%減少の見通しである。

(平成29年度)

●金属製品

 金属製品の生産額は、前年度比(以下同様)0.8%増の2兆8777億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。鉄構物・架線金物は、2.4%減。ばねは、0.3%減。機械工具は、特殊鋼・超硬工具が自動車、工作機械向けが堅調に推移すると見込まれ、3.4%増、ダイヤモンド工具は研削ホイール、切削工具の伸びが見込まれ1.7%増、機械工具全体で3.1%増。バルブ・コック・鉄管継手は、国内が復興需要や五輪に向けての社会インフラ投資等の増加を見込み、0.6%増加の見通しである。

(平成29年度)

 

●鋳鍛造品

 鋳鍛造品の生産額は、前年度比(以下同様)1.2%増の2兆5454億円となる見通しである。

 機種別にみると以下のとおり。粉末冶金製品は、0.5%減。鍛工品は、自動車、産業機械、土木建設機械向けの増加を見込み、3.4%増。銑鉄鋳物は、0.5%増。可鍛鋳鉄・精密鋳造品は、4.1%減。非鉄金属鋳物は、1.1%減。ダイカストは、2.6%増加の見通しである。 

(平成29年度)