シンポジウム「リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム」

シンポジウム「リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム」

講演会

日機連『リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム』を開催

 

日機連は、3月11日 (木)に女性と仕事の未来館ホール(港区芝)において「機械安全」に関する講演会『リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム』を、機械および電気機械の製造業を中心とする約330名の多数にのぼる参加を得て開催した。

本講演会は、日機連の機械安全推進特別委員会(委員長・栗原史郎一橋大学大学院教授)の下に標準化推進部が進める「機械安全」普及活動の一環として、「機械安全実現へのセカンドフェーズに関する検討部会」(主査:㈱東京機械製作所取締役常務執行役員)及び「機械安全を設備安全に展開するための課題と方策に関する検討部会」(主査:栗原史郎一橋大学大学院教授)において企画・立案され、実施したものである。


講演会開催の背景、趣旨は以下である。

我が国において、機械の安全確保に関する包括的な枠組みは、厚生労働省による平成19年改正の「機械の包括的な安全基準に関する指針」で示される。この指針は、メーカ及びユーザに対しリスクアセスメントの実施を要求している。リスクアセスメントに関する各種指針類は、メーカ側に対しては個別工業会、ユーザ側に対しては厚生労働省、中央労働災害防止協会などで作成されている。

メーカ側の指針類は、原則的にはISO12100,ISO14121あるいはこれらを基礎とした機種別のC規格を基に作成されているものの、リスクアセスメントの手法やリスクパラメータは多数のものが採用されており統一性に欠ける側面がある。このことは、種々の業界の機械のリスクアセスメント結果を受け取るユーザの立場としては、取扱いに苦慮する結果として特に顕著に表れると考えられる。したがって、現状では各業界において作成された指針類間を結ぶ共通ベースとなるものを纏めたものが存在しない。そのためリスクパラメータや手法について一つの考え方に基づいて作成されていることが示されていない。また、今後各機械工業会で新たにリスクアセスメント作成指針を作成する際に横断的に使用できる基礎文書が存在しないことから不統一などが生じる恐れがある。

そのため、日機連では、個別工業会のご協力のもと、機械工業界で横断的に使用できる「機械工業界リスクアセスメントガイドライン」を作成した。そこで、本ガイドラインを紹介し、取り組み加速のための建設的なご意見を仰ぐため、講演会「リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム」を開催した。

 

〔講演会概要〕 

冒頭に、主催者を代表して日機連標準化推進部長川池襄のご挨拶に引き続き、下記三題の基調講演を実施した。

 

〔基調講演〕 

1.『「ものづくり安全」から「安全づくり」へ』(PDFファイル1.22MB)(禁無断転載)
   向殿 政男氏 明治大学 理工学部 教授(日機連「機械安全標準化特別委員会」委員長)

「ものづくり安全」では、本日の講演会のメインテーマであるリスクアセスメントが最も重要なものである。今回、日機連を中心にメーカ側が機械工業界で横断的に使用できるリスクアセスメントガイドラインを作成した。このことは、機械安全側が協力するようになってきたということであり、労働安全と機械安全が手を結ぶべき時代がやっと到来をしたということである。日本のメーカとユーザは、極めて緊密な関係にあり、連携しやすい(欧米には真似が出来ない:ここに有利な点がある)。日本の強みを活かせるチャンスである。具体的には、この後のパネルディスカッションのところと関連するが、下記に示すメーカとユーザとの間のリスクコミュニケーションが重要である。

・三つのフェーズ(メーカ、インテグレータ、ユーザ)のリスクアセスメントで流れるものは、「残留リスク」情報である。 
・「残留リスク」情報を共有することで、メーカとユーザが安全確保で協調できる。 
・誇りを以って、機械に製造メーカ名を記して世に出し、お客に怪我をさせない、事故を起させない、という努力をお客と共になすべき時代が来た(我が国が最も先端的に取組める)。

一方、「安全」を更に幅広く捉えた、例えば信頼される企業(経営安全、労働安全)の、安全な製品(機械安全、製品安全)を、安全に使ってもらい(消費者安全、リスクコミュニケーション)、安心できる社会をつくる(社会安全)といった「安全づくり」を目指すべきと考えている。その為には、技術的側面、人間的側面、組織的側面並びにそれらを支える理念的側面を包含する「安全学」の確立をはじめ安全を支援する社会制度の確立等々、より高度な安全の実現に向けての課題に挑戦して行かなければならない。

 

2.『機械工業界リスクアセスメントガイドラインの概略と意義』
   (PDFファイル773KB)(禁無断転載)
   宮崎 浩一 (社)日本機械工業連合会 標準化推進部 部長代理

下記に示すガイドラインの内容を説明し、公開版を3月末に、日機連のホームページにて公開する予定であることを紹介した。(公開済みであり参照願います。)

a) 本ガイドラインの概要
 単体の機械のリスクアセスメントを基本とし、ライフサイクル全体(梱包・発送・設置・運用・保全・診断&修理・解体・廃棄など)を対象としたものである。

(1)機械の包括的な安全基準に関する指針は、メーカとユーザのリスクアセスメントを規定するが、そのうち本ガイドラインはメーカ側のリスクアセスメントガイドラインである。

(2)本ガイドラインは、厚生労働省の「包括的安全基準に関する指針」,及び国際規格を基礎として用い、ISO14121及びISO13849-1で示されるパラメータや手法等を採用している。

(3)本ガイドラインは、各機械工業会のリスクアセスメントガイドラインの基礎文書として位置づけられる。このガイドラインで示されるパラメータや手法は,各機械工業会のガイドラインで示されるものを包含するものであり、各業界のガイドラインで採用されるパラメータや手法は本文書のそれをベースとして個別事情を勘案して作成・改定される。

(4)本ガイドラインは、厚生労働省の「機械の包括的安全基準に関する指針」のうち「機械の製造等を行う者」(メーカ)の規定を逸脱するものではない。

b) ガイドラインの特徴

本ガイドラインの特徴としては、次の3点が挙げられる。一つ目はISO13849-1:2006の導入であり、二つ目は、標準パラメータの設定、三つ目は、標準フォームの準備である。

 

3.『日本工作機械工業会のリスクアセスメント事例』
   (PDFファイル333KB)(禁無断転載)
   西條 広一氏 (社)日本工作機械工業会 電気・安全規格専門委員会 委員長(日機連IEC/TC44委員、WG委員)

前演題で紹介した『機械工業界リスクアセスメントガイドライン』のリスクアセスメントのパラメータや手法を放電加工機に適用した事例を紹介した。この内容は、日工会が参画して審議している国際規格のタイプC製品安全規格に対応した事例として示されている。

 

 

日機連 川池標準化推進部長
明治大学 向殿 政男氏
   
日機連 宮崎部長代理
日工会 西條 広一氏

 

 

〔パネルディスカッション〕(PDFファイル1.88MB)(禁無断転載) 

基調講演に引き続き、下記メンバーにより、『リスクアセスメントの推進・定着』をテーマとしてパネルディスカッションを実施した。
モデレーター
向殿 政男氏 明治大学 理工学部 教授

パネラー
メーカのお立場で
小平 紀生氏 三菱電機(株) FAシステム事業本部 機器事業部 主管技師長
西條 広一氏 オークマ(株) FAシステム本部 主管技師 

ユーザのお立場で

志賀 敬氏 富士重工業(株) 群馬製作所 人事部 安全衛生課
  高岡 弘幸氏 旭硝子(株) CSR室 環境安全保安統括グループリーダ

中立的立場で

宮崎 浩一 (社)日本機械工業連合会 標準化推進部 部長代理

 

パネルディスカッション演台全体
明治大学 向殿 政男氏
   
旭硝子(株)高岡 弘幸氏
富士重工業(株)志賀 敬氏
三菱電機(株)小平 紀生氏
オークマ(株)西條 広一氏
日機連 宮崎 浩一
   
主会場客席
特別会場
   
 
日機連 石坂常務理事
 
   

 

冒頭に、旭硝子(株)高岡弘幸氏より「AGCグループが目指す機械安全」(PDFファイル1.67MB)(禁無断転載)について、富士重工業(株)志賀敬氏より「生産ラインでのリスクアセスメント活動」(PDFファイル2.08MB)(禁無断転載)について、三菱電機(株)小平 紀生氏より「産業ロボットの持つ危険性とリスクアセスメント」(PDFファイル338KB)(禁無断転載)についての小講演を行い討論に入った。

討論は、主として企業トップコミットメントの重要性、安全技術者の教育・育成、メーカ・ユーザ間の協調(リスクコミュニケーション)に関してパネラーのそれぞれのご意見が述べられた。

特に、メーカ側、ユーザ側双方でリスクアセスメントの実施を進め、残留リスクを共有する所謂メーカ・ユーザ間のリスクコミュニケーションの重要性が強調された。このため、今回日機連を中心に取り纏めたリスクアセスメントガイドラインは、メーカ・ユーザ間の共通語になりえると評価するご意見が大部分であった。

最後に、日機連 常務理事 石坂 清より閉会にあたってのご挨拶を述べ本講演会を終了した。

今回は、ご案内をお出しした早々に定員を上回るご申込を頂き、多くの方にお断りのご連絡を差し上げざるを得ない状況となった。皆様のご関心の高さを、改めて認識した次第である。そこで、急遽、会場に入れない方のために講演内容を同時放映する隣接のセミナー室を確保できたので、その室を特別会場とした。両会場とも盛況であり、特に条件の悪いセミナー室で熱心にご聴講頂いた方々に改めて感謝を申し上げます。

 

〔標準化推進部〕

 

KEIRIN
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
 

 

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