受賞者紹介

世界No.1のLNGプラント建設:エンジニアリングでカタール国の資源開発と地球環境に貢献

横浜市鶴見区
千代田化工建設(株)
その他受賞メンバー
池田和美、小川博、角野仁基、黒田勇、中野護、中村守孝、藤沢行、増川順一、宮市正
推 薦 者
(財)エンジニアリング振興協会
顔写真

池田誠一郎  (56)
技術部門 副部門長 (当時:カタールガス(監)プロジェクトダイレクター)

高度な設計システムで世界最大のLNGプラント建設を実現
summary

千代田化工建設はLNG (液化天然ガス)プラント建設では世界でトップシェアを誇る企業で、カタール政府から世界最大の1系列780 万t(年産)の天然ガス液化プラントの設計・調達・建設を6系列受注し、04年12月にその第1系列目の業務に着手した。6系列の合計で年産4680万tという生産量は、世界のLNG 生産量の約4分の1に相当する規模である。かつてない規模のプラント建設のため、最先端のエンジニアリング技術を駆使。世界中からプラントの機器資材を調達し、86カ国から文化習慣の異なる労働者を集め、安全や環境衛生の教育を進めながら、高い品質と信頼性を保持して本プロジェクトを遂行した。

summary

今まで誰も建設したことのない超巨大LNGプラントの建設を受注

 都市ガスや火力発電の燃料などに使われる天然ガスは、石炭や石油に比較すると、同じ熱量を得るうえで二酸化炭素の排出量が少なく、大気汚染の原因となる硫化物も発生しないクリーンなエネルギー資源である。近年の地球環境への意識の高まりと共に、天然ガス需要は世界中で伸びている。
 ただ、天然ガスは液体の石油と違って常温で気体であるため、取り扱いに難点がある。たとえば天然ガス産出国と需要国が陸続きであればパイプラインで輸送できるが、海を隔てた国との間にパイプラインを建設するには莫大なコストがかかる。
 そこで考案されたのが、「天然ガスをマイナス162度に冷却して液化し、LNG(液化天然ガス)にする」という技術。液化すればタンカーに積んで世界中に運ぶことが可能になる。天然ガスの液化は島国の日本に必須の技術で、実際に日本は、世界で初めてLNGを導入した。ゆえに、日本のプラントメーカーは世界の先端を走っているが、中でも千代田化工建設はLNGプラント建設では世界でトップシェアを誇る。
 「これまでの弊社の実績が評価されて、カタールから世界最大の天然ガス田であるノース・フィールドガス田の付帯施設となるLNGプラント建設を受注しました。このプラントは、今まで誰も建設したことのない世界最大の規模で、総額で1兆円を超えるプロジェクトになりました」
 それまで世界最大のプラントは年産480万tの施設だったが、同社が受注したのはその1.6倍、1系列780万tという超巨大プラント。まず2系列、計1560万t分の生産設備を建設することとなった。
 「生産量が1.6倍ということは、大ざっぱに言えば、プラントの縦・横・高さがそれぞれ1.6倍になるということで、容積比で言えば約4倍です。基礎工事から何から、従来とは異なるレベルの設計になります」

世界86カ国から7万5000人の労働者を集めて教育する

 これまで誰も建設したことのない規模なので、たとえば配管材などの調達では既製品が使えないことも多く、しかも量が半端ではない。そういう場合、複数の配管材メーカーに同じ規格、同じ品質の配管材を発注する必要がある。
 資材調達の割合は、日本からが15%で、海外からが85%と、世界中から調達したことになる。「工事スケジュールに合わせるために、ロシアの軍用機をチャーターして運んだこともありました」というから、とんでもないスケールである。
 こういった大規模で複雑な設計・建設で威力を発揮したのが、同社が自主開発した「i-PLANT21」という3D設計・統合システムである。コンピュータ上で設計を行うCADの一種で、設計したプラントの3Dモデルをもとに、配管材や電装ケーブルなど、どのような資材がどれだけ必要かを算出できる。さらに資材の発注や納入のデータを入力していくことで、工事の進み具合をほぼリアルタイムに把握できるという優れたシステムだ。
 「旧来の設計のやり方だったら、これほど巨大なプラントの設計・建設は不可能だったでしょうね」と池田さんは言う。
 このプラントの建設でクリアすべきハードルとなったのは、それだけではない。建設工事ピーク時には7万5000人ものワーカー(建設労働者)が必要となったが、折からの世界的な建設ラッシュによる人手不足も重なり、カタール近隣での人員確保は不可能だった。そこで、インドやフィリピンを中心に世界86カ国からワーカーを動員し、カタールに送り込むこととなった。
 「いわゆる"出稼ぎ"の人たちを集めるわけで、お金を稼いでもらって、なおかつケガのない状態で国に帰ってもらいたい。しかし、国籍も人種も文化習慣も異なる人々が集まるので、安全や品質に関する教育をするのは非常に大変でした」
 04年夏に始まったプロジェクトは、大きな事故もなく、第1系列は08年末に、第2系列は09年夏に客先に引き渡し、世界最大のLNGプラントが完成した。同社はカタールからさらに同規模4系列を受注しており、09年内にさらに2系列を完成させ、10年に最後の2系列が完成する予定だ。
 この超巨大プラントを経て、世界中にクリーンな天然ガスが運ばれていくのである。

千代田化工建設(株)

http://www.chiyoda-corp.com/

設立
1948年1月 
資本金
433億9640万円
従業員数
1304名(2009年9月現在)
ワンポイント
エネルギー、化学、医薬品、バイオなどのプラント計画、設計、建設、機器調達などをトータルに手がける

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写真提供:カタールガスオペレーティング社

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同社の久保田隆社長と固い握手を交わすカタールガスオペレーティング社のファイサル・モハメド・アルスワイディCEO

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インドとフィリピンを中心に世界86カ国からワーカーを動員。同じ現場で働いた仲間は、皆家族のようなもの

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生産量を従来の1.6 倍にするには、プラントの容積比を1.6 の3乗で約4倍にする必要がある。6系列の合計で4680万tという生産量は、世界のLNG 生産量の約4分の1に相当する