沖縄県西原町
株式会社日進
津嘉山 貞雄(46) 代表取締役
【推薦者】板垣仁
環境をテーマにしたものづくりの実践を通じ、
青少年教育を支援
株式会社日進
環境問題やクリーンエネルギーの大切さを楽しく学べるよう、同社が得意とする特殊金属加工技術とアイデアを生かして数々の装置・機械を開発、沖縄県内の工業高校や小中学校の生徒たちの体験学習を受け入れている。クリーンエネルギーの有効活用を満載したエコハウス、風力・太陽光発電、雨水再利用装置など、公的な補助金には頼らず、すべて自費で製作。体験学習のためだけに公開し、知識や技術に触れる機会を提供している。子どもたちに、環境問題を身近に意識させることに大きく貢献した。さらに、夢を持つこと、夢に向かって努力することの大切さも熱く伝えている。これまで2500名以上の青少年を受け入れたほか、沖縄嘉手納基地への出前教室を行うなど、世界に向けてものづくりと環境の融合を発信している。
マンガ「ものづくり万歳!!」Vol.2 日進
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− 創業して20年だそうですね。

 「そう、26歳の時ね。好きなものをつくるには自分が経営者になるしかないと思って。私は中学時代からちょっとワルでね。10代の頃はひねくれてて(笑)、東京、大阪、さらにアメリカまで放浪してたんですよ。帰郷して、やっぱり子どもの頃から好きだったものづくりの道を選んだ。今でも朝6時には出社して、夜中までずっと作業に熱中してますね」

 

− 製品の試作や、いろんな企業からの相談も多いそうですが。

 「いつからか、うちは“ものづくりの駆け込み寺”になってさ(笑)。様々な企業から試作品の依頼や相談を持ち込まれたり、各学校などの生徒が卒業製作の相談に来たり、夏休みの自由研究で小学生が来たり。そのうちに学校の先生からの依頼も増えて、子どもたちが団体で学習に訪れるようになったの。それで、子どもたちが理解しやすくて、喜びそうなものを用意するようになって。エコハウスを建てたのも、将来、自分の家をつくる時に環境を考慮してくれるようになればと思ってね。少し年上の生徒には、ビジネス面の観点からも教えています。製品はただつくるだけじゃなく、総合的な利益も意識して、販売価格を設定しながらつくるものだと。我が子への教育と同じ感覚ですね」

 

− 目玉である「廃プラスチック油化装置」の仕組みは?

 「これで廃プラの8、9割が石油に再生できます。上部のホッパーにプラスチックを投入して、電熱炉で加熱溶融する。そうすると傾斜した電熱炉の中をガス成分が上昇して、触媒と接して石油に変わり、水で冷却されて液化するわけ。液化されない残りは、ガスエンジンの燃料になる。そのガスをいずれこの装置の自力運転の熱源にしたくて、今研究中です。ただ、この装置は大きいから、子どもたちが外見に圧倒されちゃうでしょ。だから学習用に小さい装置をつくった。ペットボトルのキャップを利用しようと思ったのは、生活に身近だから。回収後の処理時にキャップが付いたままだと、圧縮がスムーズにいかないし、キャップは単純にゴミになるよね。これをどうにかできないかなぁと。キャップも燃料になるんだとわかれば、ちゃんとキャップを外してから分別して捨てるようになるでしょ?」

 

− 工場で使う工作機械もそうですが、環境配慮は徹底してますね。

 「世界中の3、4割に相当するCO2を発生させているのは、うちらみたいな工場なんです。だから、責任取らんといかんでしょ。エネルギーを使うだけの工場から、エネルギーをつくる工場へと変わらなくちゃ。10年前、地球温暖化防止京都会議のニュースを聞いて、これからは環境だと思ってね。すぐに工場内の機械や燃料、CO2排出量など、製造から廃棄処分までの全プロセスを見直してリサイクルを徹底しました。うちのフォークリフトやトラックの燃料の8割は、自社で精製したバイオディーゼル油だし、可燃ゴミも自社製の焼却炉で燃やして最小限のチリだけを廃棄処分している。自分の工場で出したゴミは自分たちで再利用して処分もしなくちゃ。できる限り消費電力を使わずクリーンエネルギーでね。これが私の理想の“ゼロ円ミッション”。あの廃プラ油化装置だって、稼働に膨大な電力を使ったら意味がないでしょ。 環境にいいものをつくっている会社が、環境に悪いものを放出したり資源の無駄遣いをしては話にならない。当たり前のことです」

 

− その考え方も実行力も、日本中の企業が見習うべきものですね。

 「ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴアさん。彼の家では一般家庭の数十倍の電気代がかかっていたという話でブーイング起きたよね? あわてて太陽光発電システムを設置したらしいけど、うちは自宅も工場も5年前からとっくにやってる(笑)。ゴミ処理も、お金で片付けようと考えている企業や自治体が多いけど、そのうち環境税でも導入されれば少しは変わりますかね・・・・・・。うちの名刺にはエコも環境の文字もないでしょ、当たり前のことだから。でも、たとえば大企業の人なんかの名刺にはよく刷り込まれているよね。じゃどんな活動してる? 自宅では? なんて質問をしてみる。ちょっと意地悪なテストをするわけ。残念ながら、ほとんどはまともな回答がないし、知識もない。まだまだ世間では、本気で取り組めていないんですね。だから、そんな大人になる前に(笑)、子どもの頃から環境の大切さを学び、考えさせる教育が必要なのです」

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