monodzukuri 第1回「ものづくり日本大賞」 HOMEEnglish
受賞者たちの熱きドキュメント
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世界の先端をつくるプロフェッショナルたち伝統を受け継ぎ進化するプロフェッショナルたち
山梨県 工作機械 知能ロボット ロボットセル
山梨県忍野村
ファナック(株)
山口賢治(37歳)
生産技術本部長 山梨県忍野村
ファナック(株)
山口賢治(37歳)
生産技術本部長
知能ロボットによる
長時間連続機械加工システム
同社が開発した「ロボットセル」は、最新の知能ロボット技術を駆使して、従来人手に頼っていた、機械加工素材の加工台への取り付け、加工後の洗浄、加工台からの取り外しといった作業をロボットに置き換えたシステム。知能ロボットには、人間の目に当たる「ビジョンセンサー」と、手の役割をする「サーボハンド」を採用、多種多様な素材を正確に加工台に装着することを、初めて可能にした。このシステムを使えば、素材を自動倉庫に置いておくだけで工作機械にセットされ、加工が完了する。保守・点検要員がひとりいるだけで長時間連続運転が可能で、従来システムに比べ大幅なコストダウンを実現した。
“目と手”を備えた知能ロボットなら、
人海戦術を取る海外工場にだって勝てる
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Company Profile
ファナック(株)
http://www.fanuc.co.jp/
1972年設立。74年、産業用ロボットを開発して自社に導入。84年には富士山麓に本社を移転した。産業用ロボットのほか、CNC(コンピュータ数値制御)シリーズ、サーボモーター、電動射出成形機などを主力製品としている。
“とにかく“わしづかみ”。発想の転換が新たなロボットに結実
 我が国製造業のレベルの高さを象徴するもののひとつ、ロボット。製造ラインで人間に代わって仕事をこなす産業用ロボットの分野でも、メード・イン・ジャパンが世界ナンバー1のシェアを誇る。当然、各メーカーは技術開発に日夜しのぎを削っているが、そのテーマのひとつは「いかに人間に近づけるか」だ。業界トップメーカーのファナックが開発し、02年4月から自社の工場で稼働させている「ロボットセル」には、この点で画期的な技術革新を成し遂げた、知能ロボットが導入されている。
「“進んだ目と柔軟な手”を備えた、今までになかったロボットです」と山口さんは説明する。
 活躍するのは、機械部品の切削加工工場。アーム型の知能ロボットが、倉庫から自動的に送られてくる素材をつかんで専用の加工台に装着、素材はその状態で工作機械に搬送され、そして加工される。加工が完了した部品は再びロボットによって取り外され、倉庫に格納される仕組みだ。工作機械は
もともと自動制御だから、システム全体で必要な人員は、保守・点検のためのオペレーターただひとり。しかも、月720時間という長時間連続での加工を実現した。
 開発に着手したのは00年4月。最初は試行錯誤の連続で、「本当にできるのかと何度も思った」そうだ。最も苦労したのが、素材をズレなくつかませること。
「様々なかたち、重さの素材があるし、表面の状態も皆違います。しっかりつかむのは、ロボットには困難な作業でした」
 山口さんたちは、考え方を変えた。最初から確実につかませるのではなく、“わしづかみ”にしておいて、修正したらどうか。そこで、挟み具合を自由に変えられる「サーボハンド」を採用。さらに人の目に当たる「ビジョンセンサー」を開発し、それが見た情報で”つかみ“を補正する仕組みを合わせることで、加工台に高い精度で装着するシステムが誕生した。
過去の蓄積も生かし加工コスト大幅低減に成功
 同社の自動機械加工システムは、80年代の第1世代、90年代の第2世代と進化を遂げ、ロボットセルは3代目。第1、第2世代共に、当時としては画期的なものだったが、いずれも加工台への素材の装着と取り外しは人間が行っていた。ところが、工作機械の性能が大幅にアップした結果、その生産能力を生かすためには、より多くの人員を着脱作業に駆り出さなければならないという、皮肉なことに。
 ロボットセルのコンセプトは、こうした問題に直面した「現場」が主導して練り上げられた。そのうえで、全体のシステムを構築するロボットシステム本部、知能ロボット開発を担当するロボット研究所のメンバーと共同の開発チームが結成されたのだ。
「実際には、現場で加工に携わっている技能者や責任者が議論に加わるなど、数十人が開発に参加しています。過去のシステムの蓄積のうえに完成したことを考えれば、ロボットセルは、まさに技術開発の歴史の結晶でもある。受賞した我々は、あくまでもその代表としていただいたにすぎません」
 ロボットセルは、現在、同社の工場で8システムが稼働し、ロボット部品などを生産している。ちなみに、10台ほどの加工台をターンテーブル状に連結して工作機械に自動装てんしていた第1世代のシステムに比べると、加工コストは何と約半分で済む。今後、開発した知能ロボットの販売にも、力を入れていく方針だ。
「海外のように安い人件費をベースに人海戦術で生産するか、知恵を絞って省力化するか。勝負はこれからだと思いますよ」
 日本のものづくりの再生、発展へ、大きな貢献が期待される。
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その他の受賞メンバー(五十音順)
小田勝、伴一訓、山梨光司
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