monodzukuri 第1回「ものづくり日本大賞」 HOMEEnglish
受賞者たちの熱きドキュメント
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世界の先端をつくるプロフェッショナルたち伝統を受け継ぎ進化するプロフェッショナルたち
北海道 小樽 健康食品 冷凍寿司
北海道小樽市
ふうどりーむず(株)
猿渡 肇(66歳)
代表取締役社長 北海道小樽市
ふうどりーむず(株)
猿渡 肇(66歳)
代表取締役社長
凍結障害を独創的技術で克服、
冷凍寿司「小樽・愛のすし」を製品化
小樽の名物である寿司を冷凍にし、日本のみならず世界に「出前」することを可能にした。従来の冷凍では、自然解凍するとシャリはパサパサに白蝋化し、ネタからは水分が出てうま味は半減してしまう。同社は、冷凍のスピードを驚異的に速める装置を自社で開発。ちなみに、それは従来の代表的な急速冷凍である窒素冷凍機に比べても、冷凍スピードが約5倍。同時に、シャリとネタの両方に独自の無添加前処理を施すことで、“握りたて”の復元に成功したのである。この技術は、他の幅広い食品にも応用可能で、すでにとんかつ、ラーメン、蕎麦、各種総菜などで実用化されている。
ウチは専門の研究員なんて雇えない。
みんなで場数を踏んだからこそ
誰もできなかった冷凍寿司が完成した
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Company Profile
ふうどりーむず(株)
http://www.foodreams.com/
1980年創業。水産加工、飲食店の経営をメインに、地ビール(海鱗丸ビール)の製造も手がけたが、バブル崩壊の影響もあり業績頭打ちに。その打開策として、猿渡肇さんの発案で冷凍寿司の開発に乗り出し、99年に商品化。「小樽・愛のすし」として認知度が高まる。05年、社名を「海鱗丸ビール」から現社名に改めた。
ただ凍らせてもダメ。ここ、本社研究室でのたゆまぬ研究が、驚きの「冷凍食品」を生み出した
ただ凍らせてもダメ。ここ、本社研究室でのたゆまぬ研究が、
驚きの「冷凍食品」を生み出した
「温度より速度」のコンセプトで冷凍システムを自社開発
「冷凍の寿司」。そう聞いて良いイメージを持つ人は、正直、少ないのではないか。しかし、同社の「小樽・愛のすし」を実際にほおばってみれば、それが固定観念だったことに気づくはずだ。マグロもホタテも、しっとり本格的な味わい。イクラは心地良く、プチプチとはじける。もちろん“普通に”凍らせたのでは、こうはいかない。
「たとえば、マイナス80℃近い低温にできる窒素凍結機で握り寿司を冷凍しても、解凍したらシャリはボロボロ、魚からはドリップ(汁)が出て、とても売り物にはなりません。いろんな会社がチャレンジしては、失敗してきたのですよ」
 やろうと思い立ったのは、90年代半ばのこと。折からのバブル崩壊もあって、経営していた飲食業、水産加工会社の経営が悪化し、局面を打開する新商品の開発を迫られたのだ。あれこれ思案するうち思い付いたのが、冷凍寿司だった。
「小樽には、人口比で日本最高といわれる130軒もの寿司屋がひしめいているのに、どこも潰れない。遠方からも、わざわざお客さんが食べに来るからです。この小樽ブランドの寿司を、水産加工で培った技術を活用して冷凍すれば、日本中に売れるのでは、と考えた」
 これしかない、という決意で取り組んだプロジェクト。だが、順風満帆とはいえなかった。技術面の課題もさることながら、資金が……。
「従来にない冷凍機を自社開発したのですが、試作機でさえ数百万円かかる。お金が続かずに、研究は何度も頓挫しました。でも、あきらめきれなかったんですね。少しお金が貯まると、“よし、続きをやるぞ”と(笑)。専門の研究員なんて雇う余裕はありませんから、生産部門の社員が寄ってたかって、場数を踏みながら階段を上がっていったという感じですよ」
 結局、研究開発には4年の歳月を有し、商品化にさらに2年。「愛のすし」が発売されたのは99年のことだった。
市場は日本から世界へ。他の食品への応用も進展
 会社の命運を懸けた冷凍寿司だったが、最初の1年は鳴かず飛ばず。「消費者に、冷凍=まずいという考えが浸透していた」ためだ。だが、ある通販カタログに掲載されたのをきっかけに、注文が殺到。一転、生産が追い付かず、通販会社から大目玉を食うほどの人気となったのである。
 現在、月産25万食を生産するが、そのうち通販、生協、飲食店ルートなどの国内向けは、実はおよそ5万食にすぎない。残りは、“スシブーム”の続く欧米など海外向け。「外国人には、冷凍食品に対するネガティブイメージがない」と積極的に売り込んだ成果だ。
 温度より冷凍スピードを重視した独自開発のシステムに加え、解凍した時に素材を“元のままよみがえらせる”ための、これまたオリジナルの下処理の技。ご飯は炊き方を工夫し、ネタは事前に水分のみを10%程度取り除く。その技術は、すでに寿司以外の幅広い食品に応用されている。サクサクのエビフライやとんかつ、本格的なマーボー豆腐(いずれもレンジなどで加熱するだけ)などは、ある意味、寿司よりも「これが冷凍食品?」というサプライズが大きい。
「冷凍」を切り口に、見事に新たな市場を切り開いた猿渡さん。今一番やりたいのは、「人が本当に健康になる食品を提供すること」だそう。何も難しい「健康食品」に手を出そうというのではない。商品は、焼き魚に煮物、漬物といった、日本の伝統的な“おふくろの味”。同社の冷凍技術を駆使すれば、その究極の健康食を誰でも手軽に味わうことができる。3食セットにした宅配が、間もなく始まることになっている。
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伊藤誠、工藤美子、拓夢二
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