monodzukuri 第1回「ものづくり日本大賞」 HOMEEnglish
受賞者たちの熱きドキュメント
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世界の先端をつくるプロフェッショナルたち伝統を受け継ぎ進化するプロフェッショナルたち
兵庫県 織機 織物 小ロット多品種
兵庫県西脇市
(株)片山商店
片山象三(44歳)
代表取締役 兵庫県西脇市
(株)片山商店
片山象三(44歳)
代表取締役
世界初の「多品種小ロット
織物生産システム」
従来の織物生産の工程では、縦糸の色柄が変わるたびに、基本的に手作業で5000〜1万本の糸を準備する必要があった。大変な手間と時間を要し、たとえば20着でも2000着でも、それに費やすエネルギーはほとんど変わらない。このため、近年ニーズが高まっている多品種小ロット生産を行ううえで、大きなネックとなっていた。機械商社である片山商店が、京都工芸繊維大学、兵庫県立工業技術センター、村田機械、それに地元企業と共同で「内閣総理大臣賞」を受賞した世界初の織物生産システムが、その問題を解決した。最高9色を任意の長さでつないだ縦糸をつくることができ、糸の交換作業を行わずに、色柄の違う織物を同時に織ることを可能にしたものだ。生産コストは39〜81%もダウン、原材料のロスも大幅に減った。
「織物産地を次の世代に残そう」。
その思いが、コストで中国と戦える
世界初のシステムを生んだ
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Company Profile
(株)片山商店
http://www.katayama-s.co.jp/
1913年創業。地場産業である播州織物の一角を支える繊維機械商社で、機械販売だけでなく、開発やアフターサービスまで手がける。00年に社長に就任した片山象三さんは、同社の5代目。同システムはこれまでに、全国繊維交流プラザ「中小企業長官賞」(04年)、りそな中小企業振興財団「第17回中小企業優秀新技術・新製品賞“優秀賞”」(05年)などを受けている。
大量生産から少量多品種へ。転換を急がねばと立ち上がる
 200年の歴史を持つ播州織物。西脇市周辺は、現在でも国産シャツ地の9割を生産する織物の一大産地だ。とはいえ、安価な中国製品などに市場を奪われ、生産量自体は最盛期の3分の1に減っている。
「小さな頃から機織りの音を聞いて育った」片山さんが、そんな苦境を打開しようと立ち上がったのは00年のこと。
「マーケットでは個性的な商品が求められているのに、生産現場は相変わらず大量生産に適した構造。少量多品種型に転換しなければ明日はないと、感じていました」
 まず目を付けたのが、織物から大量に発生するロス(残糸)。そのままでは産業廃棄物にしかならない半端な糸をつないで、カラフルな織物をつくる技
術を、兵庫県立工業技術センターと共同開発。見事、コンテストで賞も取った。ところが、地元も買い手のアパレルメーカーも、反応は冷ややか。
「確かに、今までになかった織物はできたのですが、ロスになった糸が原料ですから、二度と同じものがつくれない。『それじゃあ売り物にはならない』と」
 しかし、あきらめなかった。あれこれと思案するうち、「色柄を決める縦糸を自在に結ぶ」という発想にたどり着く。従来、織物は色柄が変わるたびに織機を止め、新たに5000〜1万本の縦糸を準備し直す必要があった。だが、任意の長さで異なる色が一本につながった縦糸ができれば、一度の準備で複数の色柄を織り上げることができると考えたのだ。片山さんの呼びかけで、産学官共同のプロジェクトが始動した。
向こう側から手前に糸を送りながら、1本につなぐ「アレンジワインダー」
向こう側から手前に糸を送りながら、
1本につなぐ「アレンジワインダー」
生産コストは4〜8割ダウン。繊維を再び日本の基幹産業に
「技術的にもっとも苦労したのは、糸の長さを正確に計測することだった」と片山さんは振り返る。糸は引っ張れば伸びるため、機械的な計測は困難。まして、複数の色柄をピタリと合わせる精度が要求されるのだ。
「試し織りをしてもまったく柄が合わず、無理に合わせようとすると糸がよじれる。そんな失敗の連続でした」
 テスト段階では、地域の工場に「無理なお願い」もした。複雑な作業に「もう付き合いきれん!」と怒鳴られたことも。そんな時、片山さんが言い続けたのは「自分たちの力で、この産地を次の世代に残しましょうよ」という一言。
「徐々にこのスローガンに共感が広がり、 むしろいろんな知恵をいただくことができました。今回の受賞者以外に地元の20社、70人以上の人たちに協力を仰いだんですよ」
 努力のかいあって03年、世界に例のない画期的な織物生産システム「アレンジワインダー」が完成。「ようやく、かたちにできた」とホッとした片山さんだったが、今度は予期せぬ天災に襲われる。翌年10月、近畿地方を台風23号が直撃、会社の事務所には胸のあたりまで浸かるほどの濁流が流れ込んだ。社員と一緒に避難した2階の部屋で、一度は「会社もあの機械も、これで終わりだと観念した」。
 水が引いてみると、惨状は目を覆わんばかり。床や壁、そして苦難の末につくり上げた“実用第1号機”も、大量の泥にまみれていた。通常なら間違いなくスクラップのそれはしかし、3カ月後にはピカピカになって帰ってきた。製作したメーカーの社員たちが、徹底的な分解掃除を施してくれたのだ。毎日、勤務時間外にである。
「自分たちが世界で初めてつくった機械なのだという愛着、誇りを感じましたね。こういう、ものづくりのプロに支えられたからできたんだなあと、改めて思いました」
 このシステムを導入すれば、織物の生産コストは、実に39〜81%もダウンできる。十分、中国と戦える水準だ。しかも、今まで困難だった多彩な色柄も表現することが可能。加えて、材料のロスも66〜87%減らせる。これまで45台が売れた。販売先の大半は地元企業だが、うち5台はポルトガルとドイツで採用された。
 今、片山さんが注目するのは「究極の小ロット」である、サンプル(試織)の受注。
「アレンジワインダーを使って、“中国並みのコストで納期半分、品質2倍”のものをつくれば、世界の織物のサンプルが日本に集まる。最新情報を手にできるわけです」
 衰退のらく印を押された、日本の繊維産業。産地の知恵を結集したメカを武器に、その反撃が始まった。
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その他の受賞メンバー(五十音順)
●京都工芸繊維大学/西村太良
●兵庫県立工業技術センター/小紫和彦、藤田浩行、古谷稔
●村田機械/美馬博志
●西角綿業/西角博文
●牧村織物/村上博和
●丸萬商店/丸山恒生
●播州織工業協同組合/竹内康隆
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