monodzukuri 第1回「ものづくり日本大賞」 HOMEEnglish
受賞者たちの熱きドキュメント
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世界の先端をつくるプロフェッショナルたち伝統を受け継ぎ進化するプロフェッショナルたち
福島県 酸化銀 水銀 電池
福島県郡山市
ソニーエナジー・デバイス(株)
寺本一憲(55歳)
PBテクノロジーセンター統括部長 福島県郡山市
ソニーエナジー・デバイス(株)
寺本一憲(55歳)
PBテクノロジーセンター統括部長
ボタン形酸化銀電池の
無水銀化技術開発と商品化
これまで不可能といわれてきたボタン形電池の無水銀化を、従来の水銀含有電池の性能を落とすことなく実現。また、およそ11年間に及ぶ、材料面、加工工程面での工夫により、生産設備に大幅な変更を加えることなく、水素ガスの発生を抑制する画期的な技術も、同時に開発する。05年1月、世界で初めて商品化に成功した無水銀電池は、環境への優しさという観点からも、今後、世界的な主流になることは確実。ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話、オーディオ・プレーヤーなど、モバイル機器の多様化、多機種化が進む中で、こうした有害物質の排除のための研究・開発は、より重要なテーマとして期待度、注目度共に大きい。
最大の問題は量産化した時の品質。
品質がしっかり押さえられていれば、
コスト競争に入っても勝てる
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Company Profile
ソニーエナジー・デバイス(株)
http://www.sonyenergy-devices.co.jp/
2004年設立。旧ソニー福島の開発・設計力と、旧ソニー栃木の量産技術を統合することで、リチウムイオンバッテリー事業の強化を図る。最先端のバッテリー開発、技術、そして量産の拠点として一貫した体制が完成されている。リデュース・リユース・リサイクルを柱に、省エネルギー、環境問題への取り組みも積極的に行われている。
ダメならダメという結論を出す、そんな思いが原動力になった
「本気で考えてアプローチしてみて、それでできないという結論が出たら、ほかのどこもやらないだろうし、できないだろうと。要するに、ソニーとして、もうあきらめるという結論を出すなら出そうよと」
  ボタン形酸化銀電池の無水銀化は、こんな考え方からスタートした。
「研究テーマとして無水銀化が上がりだして、人も、お金も使ったという意味では、もう10年以上になりますね。どの分野でも水銀に限らず、有害物質を使ってるようなところは、まず、その物質を取り除けないかと考えるわけです。で、月並みなアプローチが行われる。月並みですから、だいたいうまくいかない(笑)。やろうと思えば、実験室ではできるけれども、とても産業規模じゃできないね、という結論を出しちゃうのが第1段階なんです」
 業界をリードする立場にあるからこそ、もう一歩、踏み込まなければならない。そんな思いが寺本さんにはあった。たとえ、無水銀化ができなかったとしても“本当にできないのなら、できないことを証明しよう”という目的は達せら
れる。第2段階への挑戦は、トップシェア・メーカーとして、必然的な流れだった。
「新しくメンバーになった太原を横浜の中央研究所(99年当時)に送り出したんです。現場を離れて、存分に原理的なところだけをじっくり研究してこいと」
 逐次、送られてくる実験レポートをチェックする日々。実験では、どうすればいいのかはかなり突き詰められてきても、それを量産ベースでどう実現するのか。研究所で調べてきた原理にかなう方法が現実性を持つのかどうか、迷う時期が続いた。
「解はいくつかあったんです。どの解を取るかということだったんですね。で、これに集中しましょうと、決定したのが02年。そこから第3段階のプロジェクトを組みました。量産化の際の生産性と品質、そういった問題をクリアできる見通しが立って、勝ちめがあると思ってスタートしたわけです。ただその時点で、どうなるのかは、まだわからなかったんですけどね(笑)」
幅広いサイズがそろった無水銀ボタン形酸化銀電池。この“0% MERCURY”のロゴマークが、無水銀の目印
幅広いサイズがそろった無水銀ボタン形酸化銀電池。
この“0% MERCURY”のロゴマークが、無水銀の目印
同社が販売する酸化銀電池は、年間で4億個。今後は段階的に、無水銀電池に置き換えていく予定だ
同社が販売する酸化銀電池は、年間で4億個。
今後は段階的に、無水銀電池に置き換えていく予定だ
量産化した時の品質確保に絶対的なアドバンテージがある
「現存する量産設備を生かしながら、工夫して改良すれば無水銀化が実現できそうだと。スクラップ&ビルドまでいかなくてもね。これが、前に進もうと決めたひとつの大きな理由ですね」
 もし、まったく新しい製造設備が必要だという結論だったら、実現は、もう少し先に延びていたかもしれない。他社に先にやられてしまうかもしれないという怖さも、本音の部分では多少あった。
「量産した時の最大の問題は品質。品質確保のメドがあるか、ないかなんです。何千万個ってつくらなきゃいけないですから、まずは製造品質ですね。それから世の中に出ていって、おかしなことが起こらない市場品質。すべてを含めて、いくつか案があったんだけど、どの案も先々悩みそうな、いやなニオイがしてました(笑)」
  最終的に選んだ製造方法は、最初の段階は少々面倒かもしれないが、数を増やした時でも品質確保が万全なもの。この先、たとえ、海外のメーカーが低価格を武器に参入してきたとしても、その時にはもう、あらゆる意味で埋めることのできないアドバンテージが蓄積されている。
「結局は、品質がしっかり押さえられていれば、コスト競争に入ってきても勝ち残れるんですね。日本というのは、あらゆるほかの国と比べても、格段の生産力を持っているんです。特にクオリティーに関しては、圧倒的な強さだと思いますね」
 時代と共に、電池に求められる性能も変わる。04年に累計生産数50億個を突破した、世界でも有数のトップメーカーが実現したボタン形酸化銀電池の無水銀化。ニーズは確実にエコロジーに向かっている中、その影響力は計り知れない。
「有害物質をなくそうという流れは弱まることはないだろうと。最終的な目標は、使い終わったらコンポストに放り込む、気がついたら土になってるぐらいの電池をつくること。身の回りで使う製品っていうのは本質的にそういうものであるべきでしょう」
  不可能を可能にした後に聞く、この言葉。いつか現実になるのかもしれない。
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太原匠、原田晋
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