monodzukuri 第1回「ものづくり日本大賞」 HOMEEnglish
受賞者たちの熱きドキュメント
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世界の先端をつくるプロフェッショナルたち伝統を受け継ぎ進化するプロフェッショナルたち
東京都 金型 コンサルティング プロセステクノロジー
東京都新宿区
(株)インクス
古河建規(36歳)
コンサルティンググループ
シニアマネージャー 東京都新宿区
(株)インクス
古河建規(36歳)
コンサルティンググループ シニアマネージャー
金型生産工程の熟練レス化と
超短納期化の実現
紙に出力した図面をいっさい使うことなく、製品の設計から金型の設計、製作、量産まで、一貫して
オール自社開発のソフトウエアとマシンで行うシステムを開発。これまで熟練した技能者でなければ難しいとされていた金型製作にIT技術を融合させることで、金型製作の熟練レス、世界最高速のスピード生産を実現した。携帯電話など、研究開発段階での多種多様な試作金型製作のコストダウン、微調整の効率化など、「現在の携帯電話は、インクスの技術なしにはできない」と言われるほどの存在。独自のプロセステクノジーを用いた工程管理、金型設計、高速加工という一連の流れは、非熟練者中心の工場でも量産品質、短納期を達成できるビジネスモデルとして注目を集めている。
「45時間」を実現するという高い目標が
メンバーの無限の能力を引き出し、
“やり遂げる”人間に変えた
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Company Profile
(株)インクス
http://www.incs.co.jp/top.html
1990年設立。ITによる生産性の向上を目指し、コンピュータ上で製作した三次元データを人間の手を介さず、物体として出力する技術の研究開発を行う。「人が月に行ける時代に、なぜ金型を早くつくることができないのか?」。ある取引先が同社社長に投げ掛けた一言が、インクスの社風“どうやればできるかだけを考える”に受け継がれている。
机上の空論からスタートしたプロジェクト「K2」
 45時間。インクスが、それまで45日間かかっていた金型製作工程を、まず6日間に短縮したのは98年のこと。それから3年。01年夏、新たに自ら課した目標。それが、この限りなくむちゃな“45時間”だった。
「目標と現実があまりにかけ離れてたんで」と、プロジェクトの先頭に立った古河さんは笑う。製造業のコンサルタントから転職した古河さんを筆頭にチームは総勢36名。20代の入社3年未満の若手を中心にしたメンバーには、金型製作に精通している者も、6日間に短縮した時の社員もいなかった。それで挑もうというのだから驚く。
「飛び抜けた目標を出せと社長が常に言ってますから。できない、なんて言えないんです(笑)。インクスの社風ですね。とにかく、どうやったらできるかだけを話し合う。ダメだ、できない、ということは言わない。もう、行けるところまで行けという感じで。みんな寝るのも忘れて、休日も何も関係なくずっとやる。そんな状態でした」
 金型製作のことなど何も知らない一若手社員が、紙の上だけで計算して導き出した前人未到の45時間達成に向かって、第2工場「K2」プロジェクトは波乱のスタートを切る。どうすればスピードアップできるのか? インクスが開発してきた独自のテクノロジーの集約、金型職人の熟練技の徹底した解析、そ
してシミュレーションの繰り返し……。コンピュータ上ではできていても、実際にマシンにデータを送って金型をつくらせるとうまくいかない。
「たとえば今の携帯電話。カメラや音楽プレーヤーやスピーカー、あの小さな筐体の中でパーツがスペースの奪い合いをしてるわけです。仕切りの複雑さは増す一方で、5μmの誤差が命取りなんですね。コンピュータの計算はあくまで理想。温度、湿度、隣のマシンの振動、熱による膨張、工具の減り具合、いろいろな要素が交ざってきて、データどおりにつくるということが、言うのは簡単ですけど難しかった」
 メンバーは若手とはいえ、有名国立大学や大学院を出た頭脳集団。その彼らができない悔しさのあまり涙を見せることもあったという。そんな数々の困難な状況を打開してきたのは、古河さんの「大丈夫大丈夫、オーケーオーケー」という口癖だった。
「本当は全然、大丈夫じゃなくて(笑)。事態はけっこう深刻なんですけど。心がけたのは、深刻になっているところをメンバーに見せちゃいけない、ということですね」
 古河さんの“ひとりの脱落者も出したくない”というリーダーシップとメンバーの負けず嫌いが一体になって、02年2月、プロジェクトは始動から半年足らずで最速45時間をクリアすることになる。
   
高速金型加工機「フィッシュマシン」が並ぶ光景は、工場というより実験室のような雰囲気
高速金型加工機「フィッシュマシン」が並ぶ光景は、工場というより実験室のような雰囲気
“速く、そして泳ぎ続けること”。思いを込めたフィッシュマシン
「できたことを後から振り返ると、話は美しいですけど(笑)、一生続く記憶になるような、本当にそんな経験だったなって感じますね。やっぱり目標は高いほうがいい。達成できそうな目標だと人間はラクしちゃうんで。人の能力って考えてる以上に無限なんじゃないかと思います。みんな、どんなことがあってもやり遂げる人間になったというか、年齢の問題ではないですよね」
 第2工場K2をつくる時から一貫していたのは、製造業=ものづくりをカッコいいものにしたいという思い。
「中身が伴ってなくて、カッコいいだけの工場つくっちゃうのは最悪ですけど、中身が伴っていれば、カッコいいっていう要素はすごく大切だなと思いますね」
 高速金型加工機「フィッシュマシン」がズラリと並ぶK2は、工場というより実験室か研究室といった趣だ。
「海外には果物の名前のコンピュータがあるんだから、日本だったら魚だろうと(笑)」
 マシンのボディーに描かれたユーモラスな魚のイラストは、マグロをイメージしたもの。そこには”速く、泳ぎ続けること“というメッセージが込められた。 「テクノナショナリストだね、なんてよく言ってるんですけどね。日本で、ものをうまくつくるという意思をきちんと示していこうという意図もあるんです」
 ソフトウエアからマシンまで、すべてを自社で開発していくというこだわりに、インクスのものづくりに対する姿勢が明確に表われている。
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その他の受賞メンバー(五十音順)
大坪正人、岡本恵司、神山顕久、清水啓輔、高口順一、田中瑞樹、中川賢治、南伸二、村田直樹
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