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| この円柱ゲージを測定することで、三次元測定器の誤差がわかる |
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| 開発初期に試作した立方体形状のブロックゲージ |
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| 奥にあるのがドイツ製三次元測定器。1台数億円 |
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コンピュータ上のシミュレーションであれば、自動車エンジンのような複雑な機械でも、設計に問題がなければ完璧に動作し、100%の性能を発揮する。ところが、いざ実物をつくってみると、理論上の性能に達しないばかりか、まともに動かないことさえある。その理由は、現実の部品には必ず誤差があるから。一つ一つの誤差はわずかでも、それが積み重なっていくと理論値からどんどん遠ざかっていくのである。
設計上の数値に極力近づけるには、誤差を小さくすればいい。誤差を小さくするには、各部品の持つ誤差を正確に測定する必要がある。単純な理屈だが、そのために1台数億円もする三次元測定機が使われる。
ところが、この測定機自体、金属部品で構成される“機械”である。金属は温度や湿度の変化で伸縮し、また経年変化で徐々に変形も起きる。
「20年前の話ですが、ある自動車メーカーに部品の試作品を納入したところ、担当者から『お前んとこの部品は精度が全然出てないじゃないか!』と怒られたんです。そんなはずはない、うちはちゃんと温度管理して測定機を使っている。そっちの測定機がおかしいんだろ!とケンカになった」
通常は1年に1回程度、測定機メーカーの手で誤差調整されるが、使用環境や頻度によってはこういったズレが生じるという。
「うちのほうが管理状態が良く、数値は正しいと思っていても証明する手段がない。結局、メーカーとの力関係で負けてしまい、本当に悔しい思いをしたんですが、それ以上に、このままでは精度に自信を持って製品を出せないと思ったんです」
測定機の誤差を測定する測定機、いわば
“ものさしのものさし”が必要であることを痛感した。ところが、日本国内にそんな測定機は存在していない。だから、自分でつくろうと思ったという。 |
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三次元測定機の長さの基準は何によって決定されているのか。その答えを求めて、浅沼さんはドイツに何度も足を運び、ドイツ標準研究所で助言や指導を仰いだ。
そこでわかったのは世界標準とのトレーサビリティ(つながっていること)が重要だということ。長さの基準となるゲージを製作し、それを三次元測定機で計測することで、逆に測定機の精度を検証するわけだが、そのゲージは米国やドイツの認定機関の定める基準と同じでなければならない。
最初に試作したマスターブロックでは立方体形状を採用し、5年にわたって試作と計測を続けた。しかし、この形状では熱で膨張すると頂点に応力が集中するため、元の形状に戻るのに30日かかった。そこで伸縮が小さくてより安定したゲージを求め、新たに独自の円柱形ゲージを考案。12年にわたって試作と計測を続け、誤差0・3μmまで追い詰めた。自動車部品の誤差範囲は10μm程度である。
「様々に環境を変えては計測する。計測データの収集がすべてでした」 その膨大なデータを抱えて渡米し、03年1月にアメリカの国家機関であるNIST(米国国家標準技術研究所)の技術認定を取得。三次元測定分野におけるNISTの認定企業は、国内では唯一同社だけ。認定は毎年受ける必要があり、保持し続けている企業は海外にもわずか3社しかない。
「国際分業が進む中で、海外で製造された部品と日本で製造した部品を組み合わせるケースは増えていきます。その時に、世界標準とのトレーサビリティが取れているかが非常に重要になる。これで海外の企業ともケンカできるようになった(笑)」
浅沼さんが成し遂げたのは、「度量衡の再統一」の礎となる技術の開発だった。 |
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