monodzukuri 第1回「ものづくり日本大賞」 HOMEEnglish
受賞者たちの熱きドキュメント
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世界の先端をつくるプロフェッショナルたち伝統を受け継ぎ進化するプロフェッショナルたち
沖縄県 関節装具 膝関節痛 CBブレース
沖縄県宜野湾市
(株)佐喜眞義肢
佐喜眞 保(53歳)
取締役会長 沖縄県宜野湾市
(株)佐喜眞義肢
佐喜眞 保(53歳)
取締役会長
装着効果を極限まで追求した画期的な関節装具
我が国では、変形性関節症など、膝で悩む人口は1200万人といわれている。それらの患者が、痛みを軽減し、歩行を楽にするために膝に装着するのが関節装具だ。矯正用の関節装具には様々なものがあるが、そのほとんどが500〜800gと重く、膝の曲げ伸ばしもスムーズにいかないのが難点。同社は、センターブリッジを組み入れる技術で、約180gの軽量化に成功した。膝まずくこともでき、装具の上下に金具を付けないことで、違和感のない装着感も実現した。同製品を使用する患者は、痛みもなくトレーニングできるため、多くが回復に向かっている。また、ギアを組み入れたスポーツ用の製品も開発。現在は、さらなる軽量化に向けて、素材を軽合金からカーボンに置き換える研究を進めている。
「歩くのが楽になる」だけじゃない。
この装具を着ければ、関節症そのものを
治すことだってできる
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Company Profile
(株)佐喜眞義肢
http://www.cosmos.ne.jp/~sakimat/
1980年開業。中学校卒業後、横浜、沖縄、北海道で溶接技術を習得。その後、北九州市の義肢メーカーに就職した佐喜眞保さんが経験を生かして独立、「佐喜眞義肢製作所」を設立した。99年、関節装具「CBブレース」を開発し、特許取得。03年に法人化した。同製品は、これまでに九州地方発明奨励賞、文部科学大臣賞など数々の賞に輝いている。
あきらめない職人魂が画期的な関節装具を生んだ
 顔なじみの医師からその患者さんを紹介されたのは、98年のことだった。脳出血で半身マヒになり、片足首が反り返ってしまった40代の女性。どこで治療を受けても見放され、ワラにもすがる思いで佐喜眞さんの元を訪れたのだ。付き添う夫は「助けてやってください」と深々と頭を下げる。関節の専門家ではなかったが、「やってみましょう」と引き受けた。しかし、足首を固定する装具を何種類もつくってはみたものの、ほとんど役には立たなかった。「これ以上は無理です」。そう“宣告”した時、「できるって言ったじゃないか!」と激昂した夫の表情を、佐喜眞さんは今でも鮮明に覚えている。こんなに妻を思う人の期待を裏切っていいのか。愛妻の車椅子を押しながら、とぼとぼと帰っていくその後ろ姿を見た時、今度は佐喜眞さんの職人魂が叫び声を上げた。「待ってください。もう一度、私に任せてください」と。  再挑戦で注目したのが、足首そのものではなく、膝。開業以来、数多くの
患者さんと向き合ってきた技術者の、それは“勘”だった。数ある膝装具の
中で、軽くて丈夫だといわれる「スウェーデン式装具」。試してみると多少の歩行の改善は見られるものの、ズレ落ちる、圧迫が強すぎる、見た目が悪い、装着時に転倒するとけがをする可能性があるなど、多くの問題点があった。佐喜眞さんの新製品は支持性に優れ、重量はその2分の1〜4分の1。履いても違和感はなく、正座をすることさえできるのだ。くだんの女性も、膝が安定することで足首の反りがうそのようになくなり、ほどなく車椅子から立ち上がれるようになった。
 あきらめる寸前で踏みとどまり、まったく新しい発想で難問に挑んだこと。それが、独自構造を持つ膝用装具「CB(センター・ブリッジ)ブレース」の開発に結び付いたのである。
障害に苦しめられた半生。その経験がものづくりに結実
 実は、佐喜眞さん自身、重い障害に苦しんできた。幼児期に侵された結核性脊椎カリエスの影響で背中は大きく湾曲し、小・中学校と重いコルセットを着けて通学した。でも、負けん気は人一倍。自分に向けられる視線を感じると、誰彼となく「何見てんだ、この野郎!」と毒づくような“ツッパリ少年”だった。
 中学卒業後、横浜の親戚に預けられるが、1週間で家出。自ら探した鉄工所で加工技術を取得し、その後沖縄へ帰省するものの、今度は何を思ったか北海道へと、鉄工所を渡り歩くうち、持って生まれたものづくりの才を開花させていく。ちなみにこの北海道、”第二の故郷“と言っていい。妻のマチ子さんと出会ったのも、工事中の事故で脊椎の手術を受け、その結果「持病」だった腰の湾曲が直ったのも、この地であった。
 自らが背負った障害、そして鉄工職人として磨き抜いた技術。これらが佐喜眞さんにこの職を選ばせ、画期的な関節装具の発明を促したのは、疑う余地があるまい。
 高齢者を中心に、膝が湾曲してしまう変形性関節症。現在、我が国におよそ1200万人ともいわれるこの“国民病”にも、「CBブレース」は威力を発揮する。「これを着けると歩くのが楽になるだけではなくて、ほとんどの場合、2、3カ月で関節症そのものが治ってしまうのです」と、佐喜眞さんはこれまた驚くことを口にする。「喜んで歩くことで、骨を支える脚の筋肉が回復する」からだそうだ。実際に、膝の痛みが原因で完全な寝たきり状態になっていた老人が、この装具を着けることでベッドから起き上がり、元気に歩くようになったという事例もいくつか報告されている。
 国内特許(99年取得)に続き、海外でも特許申請中。すでに世界を見据えている。
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