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機械部品、電子部品、食品や薬の包装。
金属箔粉は様々な製品の素材として活躍しているのだ |
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金属粉の製法は大きく分けても7種類あるため、
工場には製法ごとに様々なプラントがある。
一方、新製品を生み出す実験室は意外に質素 |
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| 導電性塗料用銅粉。その複雑な形状がわかる |
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「どこに使われているかを見たいと言われれば、皆さんの携帯電話やパソコンを分解してもらうことになる。そのボディーの裏面に塗られている電磁波シールド用の塗料に、うちが開発した銅粉が使われています」
電子機器から出る電磁波は、他の電子機器の誤作動や、人体への悪影響を引き起こすといわれている。この電磁波障害を防ぐには、導電性に優れた金属を混ぜた塗料で機器の内側を覆ってしまえばいい。
「素材としては銀がベストですが、いかんせん高価。そこで80年代のアメリカでは、安いニッケルを使っていました。ところがニッケルはシールド性能が非常に劣る。もっと性能が良く、コストもより安い金属素材はないかというのが、当時の米国コンピュータ業界の潜在的なニーズでしたね」
日本の電磁波規制が自主規制なのに対し、アメリカでは厳しい法規制。その国で売れれば世界に広がる。技術営業畑の梶田さんは、社内から本当にやる気のある人材を募り、プロジェクトチームを立ち上げた。ただし冒険的すぎるというので、会社未公認。
「新しい素材は、すぐに決まりました。銅です。銀には劣るものの、ニッケルとは比べ物にならないくらい導電性が良い」
ならば、なぜこれまで使われてこなかったのか。それは銅がすぐさびて性能が落ちてしまうからだ。だが、逆にそれさえ解決すれば性能的にもコスト的にも満足のいくものができる。梶田さんはそう考えた。 |
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一口に金属粉といっても、用途や製法によってその形状・大きさは様々。導電性を上げるには、金属粉同士の絡みが良く接触点数の多い形状が良い。電解法を使ってでき上がったのは、細かな突起を持った樹枝状の銅粉。だが、この銅粉の導電性を落とさず、さびを防ぐ表面処理はできるのか?
「電解銅粉がさびるのは、硫酸銅溶液から銅を析出するため、表面に必ず水分が残ってしまうからです。この水を化学反応で別の物質にしてしまう必要がある。さらに塗料としてアクリル樹脂と混ぜるので、濡れ性(樹脂とのくっ付き具合)も良くなければいけない。このふたつを満たす添加物として、最終的にチタネートやアルミネートというカップリング剤に行き着いたんです」
とはいえ、会社未公認なので開発は勤務時間外。メンバーは毎日のように、夜を徹して新たな表面処理を試した。結果が出るのは朝。その内容を分析して、夜にはまた違う処理を試すことを繰り返した。
「しかし、いかに初期特性の良いものであっても、長期にわたる信頼性がなければ商品にはなりません。その銅粉入り塗料を塗ったサンプルを評価試験に回し、温度65℃、湿度95%の環境で塗膜の性能が劣化しないか、1年間テストし続けました。何十種類もあったサンプルがひとつずつ消えていき、最終的に残ったのは2、3点でした」 最後の難関は量産技術だった。実験室レベルでは表面処理もうまくいったが、大量生産で、複雑な樹枝状の粒子すべてに均一にコーティングができるのか。もし一部でも漏れがあれば、そこから塗膜は劣化する。だが、それを恐れて強く混ぜすぎると、今度は粒子の繊細な形状を壊してしまう。
「しかも一度表面処理をしてしまったら、失敗してもその銅粉はリサイクルできません。大量の廃棄物になってしまう。さすがに専用の機械を導入しました。銅粉とカップリング剤を“ふわっとした”感じで混ぜ合わせる、ここでは製造現場のベテランが、その経験と知恵を絞ってくれましたね」
こうして完成した導電塗料用銅粉は、IBMやアップルが相次いで採用、その成果は学会でも発表されるほどだった。
「京都の会社で金属の箔や粉というと、金屏風や金蒔絵、豪華な仏壇、仏具なんかをイメージされることでしょう。しかし残念ながら、そうした伝統工芸の需要は減る一方。だからといって、それをつくる製造技術まで廃れさせてはいけない。伝統を受け継ぎつつ、現代の新しい分野に生かせるよう発展させていくのが、私たちの役目です」
コンピュータ先進国、アメリカへのチャレンジに成功したことで、伝統技術は持てる底力を示した。何しろ同社は、そのアメリカが独立する76年も前から、金属を箔に粉にと巧みに操ってきたのである。 |
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