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講演会

講演会『企業の「機械安全」取り組み事例紹介』の内容公開

日機連講演会“「機械安全」の新しい波”を開催しました


日機連主催の“「機械安全」の新しい波―「機械安全マネジメント」を企業経営のプラスミッションに―”との標語を掲げた講演会「企業の機械安全取り組み事例紹介」が、1月29日(火)、女性と仕事の未来館ホール(港区芝)において、機械および電気機械の製造業を中心とする約230名の多数にのぼる参加を得て開催された。

 

本講演会は、日機連の機械安全推進特別委員会(委員長・栗原史郎 一橋大教授)の下に標準化推進部が進める「機械安全」普及活動の一環として、「機械安全普及部会」(主査・栗原史郎 一橋大教授)において企画・立案され、昨年度開催の「講演会」、「シンポジューム」に引き続いて実施されたものである。

 

冒頭に、主催者を代表して日機連事務局長の石坂清より企業の取り組み事例をご紹介するにあたって、機械安全、設備安全を普及する上での以下の2つの重要な課題に関連する事例テーマとして取り上げさせて頂いた旨の紹介をおこなった。

  1. 機械安全専門人材の不足の課題、また、人材を確保しても企業内でどのようなミッションを与えていくかの仕組みがないと実効は上がらない。
  2. 作業安全主体を脱却し、設備安全を実効あるものとするには、従来の勤労部門主導ではなく、生産技術部門主導で安全活動を進める必要がある。

 

講演では、

  1. の事例として、潟uリヂストン安全管理部の水野恒夫氏により、「ブリヂストンの機械安全への取り組み-機械安全専門人材の活用-」
  2. の事例として、トヨタ自動車活タ全健康推進部の宮川光雄氏により「トヨタの機械安全-生産技術部主体の取り組み-」

とそれぞれ題して講演を行った。

 
日機連 石坂事務局長
会場客席
   
潟uリヂストン 水野恒夫氏
トヨタ自動車梶@宮川光雄氏

 

1.のブリヂストンの例では、タイヤ産業の製造現場の特色として四季の温度変化でゴムの性状が変動するため製造条件、プロセスの変更が多い、工程異常の発生率が極めて高い等々の御し難い環境のなか、約8割が自社設計の生産設備で構成されている。

そうしたなか1999年に発生した災害が契機となって、安全に関する国際的な潮流である「技術とシステムで保証する安全」の基本コンセプトのもと、「機械安全の路線」の転換を進めた。それにより設備の本格的なリスクアセスメントを導入したが問題点も多かった。

なかでも、ミッションを持ち職場組織上第三者的機能で専門に役割を担う人材がいないと実効があがらないため、機械安全専門人材を養成し、各事業所にSafety Engineer(機械安全技術/専任スタッフ)を配置する制度を導入して効果を上げている。

しかしながら、本制度が抱えている課題も多く、米国セイフティアセッサー制度(CSP)にみられるような「機械安全技術者」という欧米並みの社会的な職能ステータスの確立には、今しばらく時間がかかると考えられ(日本の立ち遅れ分野)、現在日機連にて機械安全技術者の能力要件、資格認定制度について部会にて研究中であり、講師はその部会の有力メンバーである。

ブリヂストンの安全施策の未来ビジョンとしては、既にリスクとして存在している潜在災害要因の摘出、撲滅施策であるPreventive Safety(未然防止型安全)の充実とその構成比の漸減、さらに設計時のリスク評価&本質安全化等を図ったリスクを事前に排除できる、災害要因を生み出さないシステムであるPro-Active Safety(先取り型安全)へのウエイト移行(構成比の漸増)を目指している。

 

2.のトヨタの例では、安全活動の経緯として昭和30年代までの「法対応」、昭和40、50年代の「再発防止(個別対応)」の時代を経て、1991年(平成3年)に全社総括安全衛生管理者より「機械安全は生産技術部門の責務」との指示があり、全社及びショップ別安全設計検討会を設置して生産技術部門主体の安全設計としての「未然防止(包括対応)」への転換を図った。

「未然防止(包括対応)」では、90年代〜(第一フェーズ)の「包括的対応基礎づくり」、00年代〜(第二フェーズ)の「本質安全化の展開」のフェーズがある。

第一フェーズの「包括的対応基礎づくり」では、安全設計検討会で生産技術各部と安全スタッフ(使用部署)でそれぞれ立場が違うことに要因して機械の不備が不安全行為のルール違反を誘発する等々の論点の合意に苦労があったが、トヨタの安全設計原則の合意を経て、国際安全規格と整合化した階層化(A,B,C規格)されたトヨタの安全規格体系を構築し94年に運用を開始した。

第一フェーズの課題の克服と更なるレベルアップのため第二フェーズの「本質安全化の展開」を「安心してモノづくりに集中できる現場づくり」、「人のムリ・ムラ・ムダ排除」のコンセプトのもと、機械、作業並びに管理面の徹底した本質安全化を本質安全度、設備信頼度、使い易さ度等の指標を利用した全体最適化の追求が可能なリスクアセスメントを強力に進めている。

その結果、本質安全化はコスト、工数低減に寄与していることはもとより、使用エネルギーの低減により地球環境対策に寄与し、安心して作業に集中できるため作業品質も向上すること等、総じて「企業、職場の体質強化、活力向上に寄与」していることを認識できている。

2例それぞれ特色のある事例発表であったこともあり、熱心に聴講して頂いた。これは、国際規格に則った機械安全施策を企業のマネジメントとして取り入れることは、場合によっては企業の組織、人事考課等の変更を伴い、企業トップの理解無しでは立ち行かない。その点、2例に共通して言えることであるが、我が国で先駆的に取り組みを始め、企業トップの明確なトップポリシーのもと関係者の並々ならぬ努力が上手く噛み合い企業力の力強さが感じられる点であろう。

今回も、ご案内をお出しした早々に定員を上回る申し込みを頂き、多くの方にお断りのご連絡を差し上げざるを得ない状況となった。皆様のご関心の高さを、改めて認識した次第である。講演会の要約は前述であるが、聴講できなかった方のために、より詳細な講演会の内容を講師の方のご了解のもと日機連のホームページに公開いたしますので、是非ご参考としていただきたい。

なお、解説は、講演会当日のスライドに講師の発表内容に出来るだけ忠実に記載いたしましたが、発表内容の全文ではありません。スライドの内容をより詳細に理解する上でのものとご認識ください。従って、文責は、日機連 標準化推進部にあります。

 

ブリヂストンの機械安全への取り組み(機械安全専門人材の活用) 講演会詳細(PDFファイル 2.12MB)

(禁無断転載)

 

トヨタの機械安全(生産技術部主体の取り組み) 講演会詳細(PDFファイル 2.12MB)

(禁無断転載)

 

KEIRIN
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
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