社会基盤創成調査研究事業
平成17年度 機械関連分野の安全規格体系整備に関する調査研究 成果概要
1.調査研究の目的
機械関連分野の国際安全規格は、機械の広い範囲を対象としたものとして体系化され、「基本安全規格」(タイプA規格)、「グループ安全規格」(タイプB規格)、「個別機械安全規格」(タイプC規格)の3段階の階層構造になっているのが特徴である。
我が国では、従前より個別の機械ごとに労働安全衛生法の構造規格として定められたタイプCに相当する安全規格は存在するものの、これらはISO、IECの場で新しく誕生しつつある国際規格との整合化が未だ不十分であり、全体として見た場合には、我が国における機械安全規格としての体系化の整備がなされていないのが現状である。
本調査研究はこれらの背景のもとに、平成16年度に引き続き、機械産業界相互の共通認識のもと、タイプC規格も含めた我が国の機械安全規格を総点検して、国際ルールに則った階層構造による規格体系化の実現を図ることを目的としている。
2.調査研究の体制
日機連の機械安全標準化特別委員会 ( 委員長 向殿政男 明治大学 学部長 )のもとに、下記の部会を設置して実施した。
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3. 実施項目と全体スケジュール
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4.実施内容
1.関連業界共通課題の整理・分析
平成16年度の調査結果によると、国際規格に対応したJIS化が意外と進展していない実態が判った。また、JIS化を図る上で、国内法規との整合性を課題にする業界もあった。
これらの現状把握を受けて、体系化の具体化に向けて業界に共通な課題として次の2つのテーマを取り上げその要素を整理、分析した。 。
- JIS化が現状遅延していることへの対応について
- 世界標準を導入するに当たって国内法規との関係への対応について
2.規格体系化整備に向けたガイドの作成
上記1項の結果も踏まえ、タイプBおよび、タイプC規格に世界標準の安全概念を正しく導入するためのルールについて、ISO/IECガイド51などの考え方を基本にして、EN規格、ISO規格や業界が取り組んでいる具体的な事例なども折り込みながら、機械工業分野のガイドとしてまとめた。
5.成果のまとめ
1.JIS化が遅延気味であることなどへの対応について
| (1) 原因と現状 |
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1) |
国内向け製品が多い」、「輸出先は米国やアジアが主で欧州は少ない」、「日本における用途の特殊性がある」、「国際規格の制定が遅延」、「ISO/IECの活動が停止している」、「対応するISOがない」などの原因から、現状は次の通り。 |
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「既存JISや業界基準等で対応が可能」、「国際規格に整合したJIS化に馴染めない」
例 <農業機械、産業機械、ポンプ、チェーンなどの分野> |
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ISOの動向待ちである」
例 <土工機械、昇降式作業台、産業車両などの分野> |
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「関連するEN規格を参考にJIS化の取り組みを開始している」
例 <工作機械、プレス機械、木工機械などの分野> |
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タイプA,B規格の概念を導入して、EN規格なども参考に独自にJIS化や、業界安全基準を作成している」 など
例 <食品加工機械、包装機械などの分野> |
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2) |
タイプB規格に相当する分野では、関連する規格は多数あり、それらの中には「安全規格」も含まれているが、これまで機械安全分野の観点からの認識が薄かった。
例 <人間工学、振動・衝撃、音響(騒音)などの分野> |
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| (2) 今後の対応 |
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1) |
グローバル市場への進展、安全重視の社会的背景などを考慮すると、ISO/IECの動向も見極めながら国際規格に整合したJIS化の推進は必至である。 また、タイプBの規格はタイプC規格を作成する上で重要な位置付けにあるため、JIS化への促進が望まれる。 |
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2) |
国際規格を単純にJIS化するという受身な姿勢ではなく、既存JISにおける日本固有の優れた概念や開発した新技術などについて、先例を参考にしながら積極的に国際規格に提案していく取り組みが是非必要であると思われる。
先例 <工業炉用燃焼器の分野、エレベータ など> |
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2.世界標準を導入するに当たって国内法規との関係などへの対応について
| (1) 代表的な機種の現状 |
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1) |
厚生労働省 労働安全衛生法の構造規格との関係
代表的な機種としては、フォークリフト、プレス機械、製本用断裁機(シャー)、産業用ロボット、昇降式作業台、建設用機械などがあり、国際規格、JIS規格、構造規格との関係をみると、それぞれ製品の性能、安全防護の範囲、安全システムの性能、安全度レベル等々の点で、いずれも構造規格と国際規格は一致していない部分がある。 |
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2) |
国土交通省 建築基準法との関係
代表的な機種として、エレベータがあるが、安全に対する基本体系の点で一致していない。 |
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3) |
経済産業省 電気用品安全法、消費生活用製品安全法の省令との関係
代表的な機種として家庭用電気機器、レーザ機器があるが、これらはいずれも、国際規格に整合したJISの内容が採用されている。 |
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| (2) 今後の対応 |
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1) |
基本的には国際規格に整合したJIS化を進め、法規制にJISを引用するという方法や、強制法規の技術基準を性能規定化し、細則はJIS規格を引用するという案が考えられる。
例として、家庭用電気機器、レーザ機器があり、またプレス機械については、性能規定化が検討されている。
このことは、日本工業標準調査会がまとめた「新時代における規格・認証制度のあり方検討特別委員会報告」(平成15年6月)などにも記載されている。 |
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2) |
JIS規格の中に関連する法規制の存在を明記して整合性を確保するという方法もあるが、規格活用の際に混乱を招く懸念があるのではないかと思われる。
例として、フォークリフト、建設用機械がある。 |
3.規格体系化整備に向けたガイドの作成(「機械安全規格作成ガイド」)
ガイドの主な目次構成にそって、それぞれの内容の概要は次の通り。
| (1) 一般原則 |
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規格を作成するに当たっての一般原則を示す。 |
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1) |
ガイドが取り扱う適用範囲 |
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・主として「機械安全」に係るタイプC規格の作成方法に適用
・安全確保の対象は人、財産、環境、また、機械類の範囲は固定せず、産業機械以外も含める |
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2) |
規格作成の原則 |
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・タイプA規格の参照、国際規格との整合、性能規定化の推奨 など |
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3) |
規格作成に当たっての考慮事項 |
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・国際安全規格のベースになっている「state-of-the-art」(最善の技術の知見)、
「good engineering practice」(良い技術的実践)などの基本概念の導入 |
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| (2) 規格作成の準備 |
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規格作成に着手する前の段階として、規格の必要性など該当する機械類についてあらかじめ確認しておくべき事項について示す。 |
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1) |
機械安全規格の原案作成の準備 |
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・標準化の必要性と優先性の決定、機械の使用制限など適用範囲の決定
・危険源の識別、危険源に起因するリスク評価、それに基づく危険源、安全要求事項とその保護方策、およびその確認方法の決定等々の必要情報の収集・整理 |
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2) |
JIS規格原案作成の準備 |
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・JIS規格としての要件確認(工業標準化法などへの適合)、知的財産権の扱い など |
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(3) 規格の内容 |
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前項「規格作成の準備」の結果をベースに、規格を構成する次の基本要素に従ってその要件を示す。 |
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1) |
まえがき |
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・制定・改正の根拠、特許権等に関する事項 など |
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2) |
序文 |
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・対応国際規格との関係(整合性の状況など)など |
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3) |
適用範囲 |
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・規格が規定する内容(機械の制限範囲など)や適用できる限界など |
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4) |
引用規格 |
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5) |
用語の定義 |
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6) |
重大な危険源リスト |
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・JIS B 9702 付属書Aのリストの例示を参照
・参考として、危険源の体系的な分類やEN規格、ISO規格などでの事例を紹介 |
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7) |
安全要求事項と方策 |
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・危険源に対応した安全要求事項と方策を規定
・3ステップメソッド(JIS B 9700参照)によるリスク低減方策の選定
・参考として、EN規格、ISO規格などでの事例紹介 |
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8) |
安全要求事項と方策の確認 |
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・安全要求事項と方策が規格に適合しているか否かを確認する方法を規定
・参考として、ISO規格での事例紹介 |
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9) |
使用説明情報 |
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・機械の全運転モードを考慮し、機械の意図する使用方法について規定 |
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10) |
付属書 |
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・規定付属書、参考付属書 の記述方法
・参考として、EN規格、ISO規格の事例紹介 |
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| (4)
参考情報 |
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機械安全規格を作成するに当たって、参考となる関連情報などをまとめて解説する。 |
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1) |
安全の理念 |
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・安全とリスク、安全に対する責任と役割、EC機械指令の根本にある考え方など |
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2) |
標準化の意義 |
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・標準化の目的、本質的な意味、意義など |
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3) |
「機械安全」に係る国際安全規格について |
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・リスクアセスメント、リスク低減方策の選定、安全関連部の設計(機械類に制御システムが導入された場合) |
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4) |
用語・定義の例 |
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・機械安全に係る用語・定義の階層的分類による表示の例(JIS B 9701参照) |
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5) |
危険源を基準にした安全要求事項と方策 |
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・EC機械指令付属書Tの安全要求事項とJIS B 9700などに規定される方策との対比 |
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6) |
国際規格との整合 |
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・整合の度合いについて(IDT/完全一致、MOD/修正、NEQ/同等でない) |
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7) |
機械安全規格の階層構造 |
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・タイプA(基本安全規格)、タイプB(グループ安全規格)、タイプC(個別機械安全規格) |
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8) |
機械の定義 |
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・JIS B 9700-1、EC機械指令などから引用 |
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9) |
国内法規との関係 |
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・労衛法 構造規格とISO規格、EN規格との関係について、その対応状況の事例紹介 |
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10) |
アクティビティによる機械安全規格の概観 |
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・「安全要求事項と方策」を規定する主要なアクティビティの分類(例えば 防護装置、安全機能、電気機器、マーキング等々)に従って、それぞれに参照すべき安全規格(タイプA、タイプB)の一覧を表示 |
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11) |
JIS B 9700で規定される要求事項の一覧表 |
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・方法論的側面、技術論的側面 |
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12) |
関連業界のJIS規格の事例紹介 |
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・対応する国際規格のない業界でのJIS規格の概要を紹介 |
詳細はこちらをごらんください。
「機械関連分野の安全規格体系整備に関する調査研究成果報告書」(PDFファイル)
以上
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