「企業の競争力強化に資する法人課税改革のための共同要望」

「企業の競争力強化に資する法人課税改革のための共同要望」

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企業の競争力強化に資する法人課税改革のための共同要望を提出

日機連では、成長志向の法人課税改革の早期実現を求め、製造業関連9団体の連名にて「企業の競争力強化に資する法人課税改革のための共同要望」を取り纏め、岡村会長(㈱東芝相談役)の承認を得て、9月24日、自由民主党に提出し、善処方を要請した。


企業の競争力強化に資する法人課税改革のための共同要望

本年6月政府は、「経済財政運営の改革と基本方針2014」(骨太の方針)と「「日本再興戦略」改訂2014」(改訂成長戦略)を取りまとめ、その中で「数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す。この引下げは、来年度から開始する」との方針を示した。これは、国際的なイコールフッティングの観点から、実質的な税負担の軽減による、企業の競争力強化と世界トップクラスの事業環境の整備へ向けた成長志向型の法人税改革の重要な第一歩であり、産業界としてはその実行に大いに期待している。

こうした環境整備のもと、企業は自らの責任において、生産性の向上やイノベーションの創出などに全力で取組むことを通じて業績改善を実現し、グローバル経済におけるわが国の力強い成長や国内での雇用の創出、ひいては国民生活のさらなる向上と安定に貢献する決意である。 
グローバル経済の急激な変化の中で、成長志向の法人課税改革が早期に実現されることを要望する。

   
 1. 法人実効税率の国際的に遜色ない水準への引下げ
 

わが国の法人の実質的な税負担が世界最高水準にとどまる中、近隣アジアやOECD諸国では法人実効税率の引き下げが継続的に実施されており、わが国企業の国際競争力と国全体の立地競争力を強化するために、税制の国際的なイコールフッティング実現が求められている。

税負担の適正化のために、可能な限り早期に法人実効税率20%台を達成し、わが国企業にとっての競争相手であり、成長著しい近隣アジア諸国並みの20%台前半も踏まえ、将来的にはOECD諸国平均の25%程度まで着実に引下げるべきである。
 
 2. 税制の国際イコールフッティングと企業の実質的な税負担の軽減を実現する課税ベースの見直し
 

今回の法人課税改革では「法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げる」のみならず、実質的な企業の税負担を軽減することで企業の国際競争力を強化し、さらにはわが国経済の成長を確かなものとしなければならない。そのためには、課税ベースについても国際的なイコールフッティングを実現することが必要であり、課税ベースの見直しに際しては次の3点を踏まえて検討が行われるべきである。

   
  a. 企業の将来へ向けた前向きなマインドを妨げないこと

 企業の行う設備投資や研究開発など将来への前向きな行動は、近時の好転している経済のもとで活発になりつつあり、こうした企業の積極的な投資マインドを妨げないような税制が必要である。
 
  b. ゴーイングコンサーンである企業の経営を妨げないこと


 企業が継続的に事業を行うため、簡素で公平であることや企業活動へ中立であること等の税制としてのあるべき姿、あるいは企業会計等の企業を取巻く諸制度等に配慮し、合理的な企業経営を妨げない税制が必要である。

  c. 骨太の方針や改訂成長戦略で示された目標の達成を妨げないこと

 日本の立地競争力を強化するとともに、国内に拠点を置くわが国企業の競争力を高めるという政策目標の達成を妨げない税制が必要である。
 

以上のような考え方を踏まえ、実質的な企業の税負担の軽減へ向け、今回の法人課税改革における課税ベースの見直しは次のような点に留意して行うべきである。

   
  ① 研究開発促進税制について

研究開発促進税制については、改訂成長戦略で示された「我が国から常にイノベーションが生まれ続ける環境作りが必要不可欠である」という認識のもと、「世界で最もイノベーションに適した国を創り上げる」という政策目標の達成に向けて、インフラを整え、中長期的に継続して研究活動を行う企業を支援し、幅広く研究開発投資マインドを底上げする観点から、本税制の活用実績の大部分を占める総額型の税額控除の上限や税額控除割合等について維持・拡充し、諸外国を上回る制度へ再構築を図るべきである。

   
  ② 法人事業税における外形標準課税について

外形標準課税としての付加価値割を拡充し所得課税としての所得割から付け替えることで、見かけ上の実効税率は引き下げられるが、企業にとって実質的な税負担は変わらず、競争力強化にもつながらない。 
 また、成長戦略によって始まった経済の好循環は緒についたばかりであり、足元の赤字企業に対する課税を強化することや、賃上げの取組みに悪影響を及ぼす制度変更には反対である。 
 さらに、地方財政の抜本的な見直しを伴うことなく、固定的な企業負担を拡大することについては、慎重に検討する必要がある。

   
  ③ 受取配当等の益金不算入制度について

法人間の配当への課税は課税済み所得の分配に係る二重課税であり、二重課税排除を徹底するという観点から、また、グループ経営の拡充や複数法人による事業再編を支える観点から、法人が受取る配当等の全額を益金不算入とする原則を徹底するよう、制度を見直すべきである。また、持ち株比率に係らず益金不算入が認められている主要国もあることに鑑み、税制の国際イコールフッティングの観点からも、わが国における受取配当等の益金不算入制度については、維持、あるいは、二重課税排除の徹底を行うべきである。

   
  ④ 欠損金の繰越控除制度について

欠損金の繰越控除制度は、継続的に行われている事業活動を形式的に事業年度ごとに区切って所得金額を計算するために生じてしまう矛盾を解消し、企業の税負担を適正化するために法人税法上で認められたものであり、本来的に繰越控除額や繰越期間には制限を設けるべきではない。

   実際に、主要国では繰越控除額に制限がない、または控除額に制限があっても繰越期間が無制限ないしは欠損金がすべて消化できるよう十分に長い期間が取られているなどの制度となっている。こうしたことから、税制のあるべき姿や国際イコールフッティングの観点から、欠損金の繰越控除制度を維持・適正化するべきである。
   
  ⑤ 減価償却制度について

減価償却資産の償却方法について、企業は設備の資産の利用実態や逓増する修繕費負担も考慮しつつ、適正に費用と収益を対応させるために資産の取得価額を一定期間にわたって配分させる手法として定率法や定額法を適宜選択しており、資産の使用実態に合わせて償却方法を柔軟に選択できる仕組みが必要であることから、企業の設備投資を促進する観点からも、こうした柔軟性が損なわれるような制度の見直しは行うべきではない。

   
  [連名団体]

(一社)電子情報技術産業協会、(一社)日本化学工業協会、(一社)日本造船工業会、 
(一社)日本鉄鋼連盟、(一社)日本電機工業会、石油化学工業協会、電気事業連合会、日本製紙連合会



 

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