平成17年度 税制改正要望

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平成十七年度税制改正に対する機械業界の要望

日機連では、金融税制専門委員会(委員長・佐藤禔員川崎重工業㈱上席執行役員)を中心に17年度税制改正について要望を検討、次の内容の要望書をとりまとめ、9月24日(金)、政府、自由民主党等関係方面に提出し、善処方を要請した。
  要望書は、連結納税制度の改善、企業年金積立金に対する特別法人税の廃止、人材投資促進税制の創設、環境税の導入反対、減価償却制度の改善、欠損金の繰戻し還付の復活及び還付期間の延長、地方法人課税全体の抜本的見直し、LLP(有限責任事業組合)・日本型LLC(合同会社)制度の早期創設と関連税制の整備、法人税等実効税率の引き下げ、国際関連税制の拡充・改善、受取配当金の益金不算入制度の改善、企業会計制度改革(不良債権・不良資産等の処理促進)に対応した税制措置の整備、組織再編税制の整備の13重点項目の他、国税関係3分野27項目、地方税関係11項目等機械業界の共通項目をとりまとめたものである。


平成十七年度税制改正に対する機械業界の要望

長期に亘り低迷を続けてきた日本経済に、漸く明るさが戻りつつある。設備投資と輸出が牽引し、個人消費も堅調で、今年4-6月期の実質国内総生産(GDP)は5四半期連続のプラス成長となった。企業収益の改善が続き、雇用情勢も持ち直している。当会において取り纏めた平成15年度の機械工業生産額は、前年度比4.0%増の70兆3,700億円と3年振りに増加に転じ、平成16年度見通しも3.9%増の73兆900億円を見込んでいる。また、生産の海外移転に伴う国内産業の空洞化が懸念されているが、最近、新型デジタルテレビ等の先進技術を基盤とする大規模な工場を日本国内に新設する企業が増え始めており、この生産の国内復帰への動きは雇用の増加や地域経済の活性化に繋がると期待されている。

しかしながら、景気改善の状況には地域や企業間で格差があり、未だに業績低迷に苦しむ中小企業も多い。原材料の高騰が企業収益を圧迫し、設備投資の抑制を生む恐れも出ている。家計所得の回復の遅れにより個人消費が息切れする危険性もある。また、好調に推移してきた輸出にも中国・米国の景気引締めや原油高の影響により先行き懸念感が出始めている。
このように、現在の日本経済は回復軌道にはあるものの決して楽観できる状況には無く、景気回復の動きを確実にし、本格的拡大に繋げる努力を続ける必要がある。我々機械工業は、日本の製造業出荷額の46%、輸出総額の72%を占める日本産業の中核として、景気回復に貢献することを求められており、現在、積極的な研究開発による新製品投入で国内における新たな需要の創造に努めるとともに、リストラや事業・組織の見直しなどで企業体質を強化し、欧米諸国や中国を始めアジア諸国との厳しい国際競争を展開している。

日本経済の再生のため、企業は更なる自助努力を行う必要があるが、政府による政策支援も非常に重要である。日本には、高コスト体質や諸規制など、日本企業が国際競争を行う上で大きなハンディとなる要因が数多く存在している。また、高齢化・少子化の進展や国内産業の空洞化に伴う産業基盤の弱体化なども問題である。企業の国際競争力強化や新たな経済社会環境の基盤整備のため、政府には積極的な政策発動をお願いしたい。

なかでも、税制面での支援策はその効果が非常に期待できる。平成10年度から実施された法人税率の引き下げ、組織再編税制の導入など一連の税制改革は、企業の活力を大いに高めるとともに、昨年度から導入された研究開発関連税制は現在の活発な設備投資を誘発させており、今後は企業競争力強化に必要な人材投資を促進するための新たな税制度の創設が求められる。一方、連結納税制度の選択を狭める制限措置や、国際的に類例をみない年金資産に対する特別法人税、欧米諸国に比べ著しく不利な減価償却制度や国際課税制度など、健全な企業活動を阻害し、国際競争力の向上を妨げ、もしくは低下させる税制もあり、早期の是正が望まれる。また、本年度から導入された事業税の外形標準課税は十分な議論を踏まずして強行されたもので、安易な法人課税は地方財政の悪化ひいては地方経済の空洞化を招くだけであり、外形標準課税の見直しを始め地方法人課税全体の抜本的改革を行う必要がある。さらに、企業の競争力を低下させ、産業の活力を奪う環境税の導入には反対する。

企業活力を向上させ、健全なる事業活動を実現するため、以下に平成17年度の税制改正における要望項目をとりまとめたので、その実現を強く要望する。

重点要望項目

   
 1. 連結納税制度の改善
  連結グループ会社間の寄付金損金不算入制度の廃止
  適用開始時・加入時の子会社の未処理欠損金の繰越控除の容認
  申告・納税期限の延長
  連結納税の適用対象子会社の見直し
  一定の会社・資産に関する時価評価制度の見直し
  地方税(法人住民税、法人事業税)における連結納税制度の導入
  連結納税制度採用会社に対するその他の不利な取り扱いの見直し
  その他の規定の改善及び納税実務等を配慮した見直し
 2. 企業年金積立金に対する特別法人税の廃止
 3. 人材投資促進税制の創設
 4. 環境税の導入反対
 5. 減価償却制度の改善
  (1) 減価償却残存価額及び償却可能限度額の見直し
  (2) 早期償却に向けた制度の見直し
  (3) 少額減価償却資産の損金算入限度額の引き上げ
  (4) 研究開発専用設備およびソフトウェアの即時償却の容認
 6. 欠損金の繰戻し還付の復活及び還付期間の延長
 7. 地方法人課税全体の抜本的見直し
  (1) 法人事業税の外形標準課税の見直し
  (2) 地方法人課税全体の整理・統合等の検討
 8. LLP(有限責任事業組合)、日本型LLC(合同会社)制度の早期創設と関連税制の整備
 9. 法人税等実効税率の引き下げ
 10. 国際関連税制の拡充、改善
  (1) 外国税額控除制度の拡充
  (2) 特定外国子会社に係る所得課税の特例(タックスヘイブン課税)の改善
 11. 受取配当金の益金不算入制度の改善
 12. 企業会計制度改革(不良債権・不良資産等の処理促進)に対応した税制措置の整備
  (1) 民法上有効な意思表示に基づく非関連者間の債権の切り捨て、債権放棄、債権譲渡の税務上の容認
  (2) 子会社等の整理・支援損に係る取扱いの緩和
  (3) デット・エクイティ・スワップ(DES)に関する債権譲渡損計上の取り扱いの見直し
  (4) イラク債権等、特定海外債権に係る債権金額の貸倒引当金計上の容認
  (5) 貸倒引当金個別評価の基準見直し
  (6) 有価証券評価損に係る判定要件の緩和、並びに損金経理要件の撤廃
  (7) 金銭債権の評価損の損金算入の容認
  (8) 棚卸資産評価損の基準見直し
  (9) 固定資産への減損会計導入の際の減損損失の損金算入の容認
 13. 組織再編税制の整備
  (1) 組織再編税制の見直し
  (2) 三角組織再編に係る課税繰延べの特例措置の創設


その他要望項目

 (国税関係)
 1.産業全般に関する税制
  (1) 長期大規模工事以外の赤字工事についての進行基準経理の容認
  (2) 工事進行基準経理による工事未収入金の貸倒引当金対象債権化
  (3) 確定拠出年金制度の改善
  (4) 事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除(中小企業等基盤強化税制)の期限延長
  (5) ストックオプション制度の税制面での改善
  (6) 役員賞与の損金算入
  (7) 試験研究費税額控除制度の拡充
  (8) 会社更生法等のもとでの再建途中時の延納制度の創設
 
 2.環境・エネルギー対策の推進に関する税制
  (1) 特定設備等(公害防止用、産業廃棄物処理等)の特別償却制度の適用期限の延長
  (2) 家庭系PCリサイクルにおける販売時徴収金に対する準備金制度の創設
 
 3.税制の簡素化、合理化など、その他の税制
  (1) 法人税の法定納付期限の延長
  (2) 消費税の申告・法定納付期限の延長
  (3) 寄付金の損金算入枠の拡大
  (4) 法人住民税均等割の損金算入
  (5) 印紙税の抜本的見直し・廃止
  (6) 交際費損金不算入の不合理の改善
  (7) 会社が負担する海外個人所得税の非課税化
  (8) 国内源泉所得を租税条約の規定で読み替える場合の、駐在員事務所での設備の使用料の除外
  (9) 事業再編における減価償却費・準備金繰入の期中損金算入等届出手続きの見直し
  (10) 開発研究用設備の特別償却制度における償却方法(償却方式、準備金方式)の併用の容認
  (11) 土地の譲渡等に係る重課制度の廃止
  (12) 地価税の廃止
  (13) 不動産取引に係る税制の特例措置の適用期限の整合化
  (14) 特定資産の買換えの場合の圧縮記帳制度の永続化
  (15) 借地権課税における相当の地代価額の引き下げ
  (16) 法人税上、未経過固定資産税を資産の譲渡対価として扱わないことの通達による明確化
  (17) 建設工事の請負に係る契約の印紙税額の軽減措置の延長
 
 (地方税関係)
  (1) 分割法人における地方税納付先の一本化、納付手続きの簡素化
  (2) 固定資産税・都市計画税の抜本的見直し
  (3) 特別土地保有税の廃止
  (4) 法人事業税並びに住民税法人税割の超過税率の撤廃
  (5) 建設工事現場等の法人事業税・住民税に対する課税対象判定期間の改善
  (6) 法人住民税均等割の適正課税
  (7) 事業所税の廃止あるいは事業所税の免税点判定における「みなし共同事業」要件基準の見直し
  (8) 連結納税法人に対する地方税中間申告の仮決算方式の導入及び中間申告期限の延長
  (9) クリーンエネルギー車(電気自動車・燃料電池車・天然ガス自動車・メタノール自動車・ハイブリッド自動車)の取得に対する軽減措置の延長・拡充
  (10) 非住宅用地の固定資産税負担の適正化
  (11) 地方税独自課税(法定外普通税等)への対応