重点要望項目

平成19年度税制改正に対する機械業界の要望

 重点要望項目 要望内容・理由

1. 減価償却制度の見直し
 我が国経済が再生するためには経済成長の原動力である設備投資の本格的回復が不可欠である。老朽化した設備を廃棄し、新規更新投資を促進することにより、生産性の向上を通じて、国際競争力の強化につながるとともに、経済活動にインパクトを与える。しかし、現在の減価償却制度は、投資額の95%までしか損金計上できないなど問題が多く、18年度の与党税制改正大綱では制度の総合的見直しの検討が明記された。企業の投資意欲を高めるには、投下した資金を早期にかつ完全に回収する措置が是非必要であり、欧米諸国に比べて遜色ないものとなるよう、減価償却に関する損金経理要件を撤廃し、減価償却制度の抜本的な見直しを図られたい。
  (1)  減価償却可能限度額の撤廃及び残存価額の見直し
 現行の残存価額は、資産廃却時点でのスクラップ価額を勘案して定められたと思われるが、実際には取得価額の5%をはるかに下回り、処分費用もかかるため、除却時に多額の損失が発生している。この実情に合わせて、償却可能限度額を撤廃し、欧米諸国などと同様に、法定耐用年数経過時に取得価額の全額を償却可能とする制度への見直しを行って頂きたい。
  (2)  減価償却資産分類の簡素化
 現在の詳細すぎる減価償却資産分類について、諸外国並みに、簡素化して頂きたい。
  (3)  早期償却に向けた制度の導入
 早期の投下資金回収のための早期償却を認めるべきであり、米国と同様の加速償却制度の導入を検討して頂きたい。
  (4)  少額減価償却資産の損金算入限度額の引き上げ
 少額減価償却資産の損金算入限度額ついては、税務の簡素化の観点から、現行の10万円未満から30万円未満に引き上げて頂きたい。
  (5)  研究開発専用設備及びソフトウエアの即時償却の容認
  研究開発専用設備及びソフトウエアの取扱いについては、企業会計と税務会計の乖離により納税者に多大な事務負担がかかっているため、企業会計上費用処理が強制されるものについては、税務会計上も会計処理に合わせて即時償却を認めて頂きたい。
 
2.連結納税制度の改善
   連結納税制度は、制度活用上の付帯条件や制限措置が多く存在し、制度導入の足枷となっているため、企業の経営効率の向上や国際競争力の強化を実現させ、我が国経済の活性化をもたらす連結納税制度が有効に活用されるよう、次の項目について改善などを行って頂きたい。
  (1)  連結グループ会社間寄付金の全額損金不算入制度の廃止
 課税の公平性・中立性を確保するとともに、グループ内取引の制約が円滑な企業再編を阻害しないよう、連結グループ会社間の寄付金の全額損金不算入制度を廃止されたい。
  (2)  適用開始時・加入時の子会社の未処理欠損金の繰越控除の容認
 連結子会社の欠損金放棄は、連結納税制度選択の大きな障害となっており、課税の公平性・中立性にも反することから、適用開始時・加入時の子会社の未処理欠損金の繰越控除を容認されたい。
  (3)  申告・納税期限の延長
 複雑な業務に鑑み、連結中間申告の申告期限及び納税期限を現行より少なくとも1カ月以上延長されたい。
  (4)  連結納税の適用対象子会社の見直し
 連結対象をすべての完全支配会社とすると対象会社数が膨大となり、多大な事務負担が発生するため、連結対象子会社については持株割合が100%に満たない場合も含め選択できる制度の導入など、連結納税の適用対象子会社の見直しを行われたい。
  (5)  連結納税の開始時・加入時に伴う資産の時価評価の除外要件の緩和
 連結納税の開始時・加入時に伴う資産の時価評価の除外要件について、例えば過去5年間の出資比率が50%超であることとするなど緩和されたい。
  (6)  地方税(法人住民税、法人事業税)における連結納税制度の導入
 地方税(法人住民税、法人事業税)においても連結納税制度を導入して頂きたい。
  (7)  資本金1億円以下の連結対象子会社の交際費の損金算入の容認
 資本金1億円以下の連結対象子会社について、単独納税において認められていた交際費の損金算入限度額までの損金算入を容認されたい。
 
3. 会社法に対応した税法上の扱いの見直し
   会社法では、会社の組織再編を容易にする規定の整備、新たな会社類型の創設などが盛り込まれており、このような新たな制度を実効性のあるものとするため、以下の税法上の対応策を講じられたい。
  (1)  合同会社(日本版LLC)税制の創設
 日本版LLC制度の創設に合わせ、現物出資の際の課税繰延とパス・スルー課税(構成員課税)を導入するなど、税制上の対応策を講じられたい。
  (2)  三角組織再編に係る税制適格要件の整備
 企業がグローバルな組織再編成を円滑に実施できるようにするため、親会社(外国親会社を含む)の株式を対価として合併などを行う際に、現行の組織再編税制の枠内で課税の繰延べが適用されるよう、三角組織再編に係る税制適格の要件整備について検討されたい。
 
4. 組織再編税制の整備
平成13年度に導入された組織再編税制について、以下の規定を見直して頂きたい。
  (1)  適格組織再編に係る適格性判定要件の明確化
 組織再編の適格性判定に係る現行規定において、事業継続、従業員引継、継続支配、株式継続保有などについては「見込まれていること」が要件となっており、この「見込まれていること」について、通達あるいは例示の公表などを通じ、規定が明確化されることを要望する。
  (2)  時価評価算定方法の明確化
 税制非適格時の時価評価が企業価値評価を含意するのか不明であるため、明確にすべきである。万一、企業価値評価を含意するのであれば、その算定方法も明記すべきである。また、どの時点(再編時、再編直前など)の時価をもって評価すべきか明確化して頂きたい。
 
5.法人税等実効税率の引き下げ
   我が国の法人税等実効税率は、低減措置が進められてきたものの、諸外国も税率引き下げに動いており、世界的にみて依然高い水準にあるため、我が国企業の国際競争力の確保及び外国企業の国内投資促進の観点から、地方税を含めた実効税率を諸外国並みの水準まで引き下げて頂きたい。
 
6.環境税の導入反対
 昨年2月発効の京都議定書での我が国に課せられた目標達成のため、環境省は前年度に続き、再び環境税の導入を提案しているが、次の理由により、環境税の導入には反対である。
   
  • 産業界は、環境問題の重要性を認識し、環境保全対策や省エネルギー技術の開発などへ積極的に投資を行い、環境自主行動計画の実行を進めた結果、着実な成果を挙げてきている。このような状況下での環境税の導入は産業界に二重の負担を課すこととなり、日本企業の国際競争力を大きく損なわせ、我が国産業の衰退を引き起こす恐れが高い。
  • 原油価格が高騰しているにも拘わらずガソリンの消費は大きく落ち込まないなど、環境税のCO2削減効果は疑わしく、効果不明確の中での増税は国民生活や中小企業などへの悪影響が懸念され、また、環境税の導入が実現した場合には、途上国などエネルギー消費効率の低い国での生産が増加する結果、CO2の排出は増加し、地球温暖化防止にむしろ逆行することとなる。
 
7.地方法人課税全体の抜本的見直し
   地方税における外形的課税は、事業所税をはじめ法人住民税均等割、都市計画税、固定資産税など多岐に亘り、課税標準も重複するなど極めて錯綜する中、平成16年度より法人事業税の外形標準課税が新たに加わり、その複雑さに拍車が掛っているため、二重課税排除・税制簡素化などの観点から地方法人課税全体の整理・統合など抜本的見直しについて早急に検討すべきである。
 
8.欠損金の繰戻し還付の復活及び還付期間の延長
   欠損金の扱いについては、平成16年度税制改正において、欠損金の繰越期間の延長などが実現した結果、国際的整合性のギャップは多少緩和された。しかし、我が国の制度は欧米諸国に比べ依然として不利な状況にあるため、国際競争力を向上させるためには現在停止中の繰戻し還付を復活のうえ、繰戻し還付期間を1年から2年に延長すべきである。
 
9.企業年金積立金に対する特別法人税の廃止
   企業年金積立金に対する特別法人税は、現在の超低金利や企業年金の財政状況などに鑑み、平成17年度税制改正において、適用停止が3年間延長されたが、丸1公的年金を補完する企業年金制度の重要性がますます高まっていること、丸2厚生年金基金は原則非課税であり、制度間の中立性・公平性を欠くこと、丸3「拠出時・運用時非課税、給付時課税」が課税原則の基本に対して、国際的にも類例をみない運用時の課税であること、丸4「法人に課した税」ではなく、労働者が受給する「年金資産に対する課税」であることなどから同特別法人税を即刻廃止すべきである。
 
10.受取配当金の益金不算入制度の改善
   受取配当金の益金不算入制度は、過去数次にわたる縮減措置実施の結果、現在、連結法人株式及び関係法人株式以外の株式に係る益金不算入割合が50%に制限されており、二重課税状態にあるが、「法人擬制説」に立脚する法人税法の立場からは全ての国内株式に係る配当金につき、100%の益金不算入を認めるべきである。また、受取配当金益金不算入の負債利子控除計算について、負債利子中の特定利子控除の復活をお願いしたい。
 
11.国際関連税制の拡充、改善
  (1)  外国税額控除制度の拡充
 
 控除限度超過額の繰越期間の延長
     輸出プラント工事などにおいて、国外所得の発生時期と現地における税額発生時期のタイムラグが大きくなっていることに加え、外国税額控除枠が十分に確保できないことなどから、外国税額控除制度の利用が制約され、国際的二重課税の排除が十分に行えない事態が多々生じている。したがって、控除限度超過額の繰越期間については、現行の3年を延長すべきであり、平成16年度税制改正で欠損金の繰越期間並びに更正期間が7年とされたと同様に、7年への延長を要望する。  
 
 控除限度超過額の繰越期間経過後の損金算入の容認
   

控除限度超過額が恒常的に発生し、企業経営を圧迫する一因ともなっていることから、控除限度超過額で繰越期間内に控除できなかった金額については、損金算入を認めるべきである。

 
 外国税額控除の控除限度額の拡充
     外国税額控除の控除限度額は国外所得に法人税の実効税率を乗じて算出した金額相当額になるが、試験研究費の総額に係る税額控除などにより実効税率が低下し控除限度額が減少することになる。これでは双方の税額控除の目的を達成できないため、控除限度額が法定税率(30%)を用いて計算した金額相当となるような仕組にして頂きたい。
 
 間接外国税額控除制度の拡充
     間接外国税額控除制度に関し、以下の措置を講じられたい。
   
  • 間接外国税額控除の対象となる外国関連会社の出資比率の要件は25%以上となっているが、海外企業との戦略的提携により出資比率が低い共同子会社の設立が増加しているため、その比率を多くの先進諸国で採用されている10%以上へ引き下げる。
  • 地域統括持株会社の設立などのグループ再編が行い易い環境を整えるため、控除対象会社の範囲を現行の孫会社から先進諸国並みの曾孫会社まで拡大する。
  • 間接税額控除の孫会社要件は、配当確定日前6ヶ月以上に亘って子会社が持分割合25%以上を保有することとされているが、例えば同一国の二つの子会社を当該6ヶ月以内の期間に、一方の子会社を他方の子会社(内国法人から見れば孫会社)とするなどの再編が行われた場合においても、内国法人による25%以上の支配関係が継続しているのであるから、法の趣旨に合致するものとして、当該孫会社からの配当も間接税額控除の対象となるように改正する。
  (2)  特定外国子会社に係る所得課税の特例(タックスヘイブン課税)の改善
 
 欠損金の合算の容認
     現行の税制では欠損金の合算が認められず、留保所得のある子会社のみ日本で課税するという公正さを欠く制度となっているため、実質上親会社と一体である特定外国子会社の欠損金は合算を容認すべきである。
 
 軽減税率国の判定基準の引き下げ
     現行の軽減税率国の判定基準は、シンガポールやスイス等のいわゆる「タックス・ヘイブン」でない国の実効税率が低下していることを踏まえ、現在の25%を少なくとも20%以下に引き下げるべきである。
 
 指定国制度の復活による軽課税国の明確化又は標準税率による判定
     実効税率が25%以下であるかどうかの判定を会社別に毎期行うのは、大変多くの労力を必要とするため、課税関係について明確化する軽課国を直接指定する「指定国制度」の復活を要望する。あるいは、各国の法定税率を基準とした「標準税率による判定」でも、現行の実効税率による個別判定と比較すると、実務面での大幅な簡素化が期待できるため、善処をお願いしたい。
 
 適用除外基準の緩和
     現在の制度では、たとえ実態のある事業を行っている会社でも、軽課税国に存在するだけで特定外国子会社と見なされ、合算課税される場合があるため、非関連業者基準(特に卸売業)を廃止するなど、適用除外基準を緩和すべきである。
 
12.企業会計制度改革(不良債権・不良資産などの処理促進)に対応した税制措置の整備
 

近年、国際的整合性の観点から、金融商品の時価会計、減損会計の導入など我が国の企業会計制度の急速な見直しが進み、企業が抱える不良債権・不良資産などの処理が促進される一方、税制がこのような動きに十分対応していないため、損金認容が制限(含 債権放棄の寄付金認定)され、多額の繰延税金資産という新たな不良資産を生み出す結果となっている。
このような状況を打開し、企業の財務体質の健全性確保を図るため、不良債権・不良資産などの処理に関し、税務上の取扱いは企業会計上の扱いと極力一致させるべきである。

  (1)  民法上有効な意思表示に基づく非関連者間の債権の切り捨て、債権放棄並びに債権譲渡の税務上の容認
     民法上有効な意思表示に基づく非関連者間の債権の切り捨て、債権放棄並びに債権譲渡について税務上も容認し、原則として寄附金として扱わないようにして頂きたい。
  (2)  子会社等の整理・支援損に係る取扱いの緩和
     子会社等の整理・支援損の扱いについて、法人税基本通達9-4-1(子会社等を整理する場合の損失負担等)及び9-4-2(子会社等を再建する場合の無利息貸付等)の要件を緩和し、経営危機に陥る前の経営悪化の段階での支援を弾力的に認めて頂きたい。
  (3)  デット・エクイティ・スワップ(DES)に関する債権譲渡損計上の取り扱いの見直し
     (2)に関連し、債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ(DES))に関し、債権の譲渡損益計上を認める範囲を100%子会社にまで拡大して頂きたい。
  (4)  個別評価の貸倒引当金の基準及び損金算入要件の見直し
     個別評価の貸倒引当金について、基準及び損金算入要件を以下のとおり緩和して頂きたい。
   
  • 会社更生法などの法的手続き開始時点での貸倒引当金の繰入限度額(現状は50%)を大幅に引き上げて頂きたい。
  • 外国政府などに対して有する特定海外債権につき、債権金額全額の貸倒引当金への計上を認めて頂きたい。
  (5)  有価証券評価損に係る判定要件の緩和、並びに損金経理要件の撤廃
   

金融商品会計の適用に伴い、株式などの投資に係る減損処理が行われる場合が多くなった一方で、法人税法上の投資に係る減損の要件は従来のままであり、会計と税務の乖離が大きく、現状多額の有税処理が行われている。公正な担税力の判定において、また実務の煩雑性において、かかる現状は適当ではなく、税法上の減損判定要件を緩和し、金融商品会計と同様の基準とすることを強く要望する。
  また、有価証券の評価損に関する損金経理要件を撤廃し、退職給付信託資産(有価証券)についても一般の上場有価証券と同様の基準で評価損の計上を認めて頂きたい。

  (6)  金銭債権の評価損の損金算入の容認
     金銭債権についても、評価損の損金計上を認めて頂きたい。また、相場のあるゴルフ会員権は有価証券に準じ評価損の計上を認めて頂きたい。
  (7)  棚卸資産評価損の基準見直し及び会計基準の変更に伴う税制措置の検討
   

棚卸資産の時価の著しい下落が生じた場合、税務上も評価損の計上を認めて頂きたい。 また、棚卸資産の評価原則に関する会計基準の変更により、平成20年4月以降開始する事業年度から棚卸資産の評価は低価法が強制(平成19年4月以降開始される事業年度から任意)適用されることとなったが、当該会計基準では「時価」を「正味販売価格」としており、現行税法が規定している「再調達価格」とは異なるため、会計・税務に二重計算が生じることとなる。これを回避するために適切な税法上の措置を講じられたい。

  (8)  リース会計基準の変更に伴う適切な税制措置の実施
     現在、リースの会計処理に関し、賃貸借処理を廃止し原則売買処理に準じた方法が検討されているが、この変更が実施されるとリースのメリットが失われ、中小企業などのリース利用の実務に影響を与える可能性がある。産業界に不利益とならぬよう、適切な税制上の措置を講じられたい。