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平成20年度税制改正に対する機械業界の要望を提出
日機連では、税制金融政策特別委員会(委員長・佐藤禔員川崎重工業㈱顧問)を中心に来年度税制改正について要望を検討していたが、9月25日付けで、要望書「平成20年度税制改正に対する機械業界の要望」を自由民主党、経済産業省、財務省、総務省および環境省等関係方面に提出し、善処方を要請した。
要望書は、研究開発促進税制の拡充等、情報基盤強化税制の延長・拡充、連結納税制度の改善、減価償却制度の見直し、法人税等実効税率の引き下げ、環境税の導入反対、地方法人課税全体の抜本的見直し、企業年金積立金に対する特別法人税の廃止、受取配当金の益金不算入制度の改善、国際関連税制の拡充・改善、租税特別措置について、企業会計制度改革(不良債権・不良資産などの処理促進)に対応した税制措置の整備の12項目を重点要望とし、その他国税関係26項目、地方税関係11項目等機械業界の共通項目をとりまとめたものである。
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平成20年度税制改正に対する機械業界の要望
我が国経済は、設備投資や個人消費が堅調で、輸出も新興・資源国向けを中心に好調に推移するなど、内外需が両輪となり、戦後最長の景気拡大が続いているものの、原油など資源価格の高騰、減速懸念の米国経済、乱高下する株式市場や金利上昇リスクなど、不安定要因も同時に存在している。
我が国を巡る経済社会環境は、グローバル競争の激化、少子・高齢化による人口減少社会の到来など、これまでになく厳しいものとなっているが、今後は新たな経済成長に向けて我が国経済の現在の好循環を長期安定成長の軌道へと導くことが重要である。そのためには、政府は「骨太の方針2007」で示された「成長力強化」と「財政健全化」を両輪として、経済財政改革を確実に進めるともに、国民が将来に亘って安心できる社会システムを早期に構築し、また、企業は積極的な研究開発の推進、事業・組織の見直しによる企業体質の強化等により国際競争力の維持・強化を一層進めることが必要である。
我々機械工業は日本の製造業の中核として、今後とも日本経済を牽引していくことが求められるが、BRICs等の新興国の台頭は著しく、企業は今後一層厳しい国際競争に直面せざるを得ない。このような状況下では我々企業の自助努力だけでは世界に向けて十分に力を発揮することは難しく、政府による政策の支援が非常に重要である。
なかでも、税制面での支援策はその効果が大きい。平成15年度に抜本強化された研究開発促進税制は企業の研究開発投資を促進し、企業活力の向上に寄与するとともに、現在の活発な民間設備投資の原動力となっており、企業が一層の研究開発投資ができるよう、税額控除限度額の引き上げ等を実施されたい。昨年度に実施された減価償却制度の改善措置も企業体質の強化に繋っており、資産分類の簡素化など更なる見直しをお願いしたい。また、我が国の法人実効税率は世界で最高水準にあるが、欧州諸国は現在、グローバル競争での企業支援のために更なる税率引き下げに動いており、我が国企業の国際競争力の確保のために法人税等実効税率の引き下げを検討されたい。一方、国際課税制度や受取配当金の益金不算入制度など企業競争力を阻害しているものに加え、連結納税制度では依然として制限措置が改善されないなど税制上の課題は未だに多く残っており、より柔軟な法整備が求められる。また、環境税は企業の競争力を低下させて産業の活力を奪う一方、効果が不明確であるため、その導入には反対する。
業活力を向上させ、健全なる事業活動を実現するため、以下に平成20年度の税制改正における要望項目をとりまとめ、その実現を強く要望する。
1. |
研究開発促進税制の拡充等 |
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(1) |
税額控除限度額の引き上げ |
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(2) |
試験研究費の増加額に係る税額控除制度の適用期限の延長 |
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(3) |
試験研究費の繰越税額控除限度超過額の繰越可能期間の延長 |
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2. |
情報基盤強化税制の延長・拡充 |
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3. |
連結納税制度の改善 |
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(1) |
連結グループ会社間寄付金の全額損金不算入制度の廃止 |
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(2) |
適用開始時・加入時の子会社の未処理欠損金の繰越控除の容認 |
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(3) |
申告・納税期限の延長 |
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(4) |
連結納税の適用対象子会社の見直し |
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(5) |
連結納税の開始時・加入時に伴う資産の時価評価の除外要件の緩和 |
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(6) |
地方税(法人住民税、法人事業税)における連結納税制度の導入 |
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(7) |
資本金1億円以下の連結対象子会社の交際費の損金算入の容認 |
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4. |
減価償却制度の見直し |
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(1) |
減価償却資産分類の簡素化 |
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(2) |
少額減価償却資産の損金算入限度額の引き上げ |
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(3) |
研究開発専用設備及びソフトウエアの即時償却の容認 |
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(4) |
機械設備等の償却資産税の評価額算定法の見直し |
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5. |
法人税等実効税率の引き下げ |
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6. |
環境税の導入反対 |
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7. |
地方法人課税全体の抜本的見直し |
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8. |
企業年金積立金に対する特別法人税の廃止 |
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9. |
受取配当金の益金不算入制度の改善 |
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10. |
国際関連税制の拡充、改善 |
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(1) |
外国税額控除制度の拡充 |
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控除限度超過額の繰越期間の延長 |
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控除限度超過額の繰越期間経過後の損金算入の容認 |
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外国税額控除の控除限度額の拡充 |
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間接外国税額控除制度の拡充 |
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(2) |
特定外国子会社に係る所得課税の特例(タックスヘイブン課税)の改善 |
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欠損金の合算の容認 |
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軽減税率国の判定基準の引き下げ |
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指定国制度の復活による軽課税国の明確化又は標準税率による判定 |
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適用除外基準の緩和 |
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11. |
租税特別措置について |
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(1) |
エネルギー需給構造改革投資促進税制の適用期限の延長・拡充 |
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(2) |
中小企業投資促進税制の適用期限の延長・拡充 |
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(3) |
人材投資促進税制の延長・拡充 |
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12. |
企業会計制度改革(不良債権・不良資産などの処理促進)に対応した税制措置の整備 |
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(1) |
民法上有効な意思表示に基づく非関連者間の債権の切り捨て、債権放棄並びに債権譲渡の税務上の容認 |
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(2) |
子会社等の整理・支援損に係る取扱いの緩和 |
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(3) |
デット・エクイティ・スワップ(DES)に関する債権譲渡損計上の取り扱いの見直し |
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(4) |
個別評価の貸倒引当金の基準及び損金算入要件の見直し |
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(5) |
有価証券評価損に係る判定要件の緩和、並びに損金経理要件の撤廃 |
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(6) |
金銭債権の評価損の損金算入の容認 |
(国税関係) |
1.産業全般に関する税制 |
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(1) |
欠損金の繰戻し還付の復活及び還付期間の延長並びに繰越控除期間の延長 |
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(2) |
合同会社(日本版LLC)税制の創設 |
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(3) |
適格組織再編に係る適格性判定要件の明確化 |
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(4) |
時価評価算定方法の明確化 |
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(5) |
特定資産の買換えの場合の圧縮記帳制度の恒久化 |
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(6) |
長期大規模工事以外の赤字工事についての進行基準経理の容認 |
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(7) |
工事進行基準経理による工事未収入金の貸倒引当金対象債権化 |
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(8) |
確定拠出年金制度の改善 |
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(9) |
役員賞与の損金算入要件の緩和 |
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(10) |
電話加入権の損金算入 |
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2.環境・エネルギー対策の推進に関する税制 |
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(1) |
特定設備等(公害防止用、産業廃棄物処理等)の特別償却制度の適用期限の延長 |
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(2) |
地球温暖化防止、環境改善関連の新製品開発への優遇税制の創設 |
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3.税制の簡素化、合理化など、その他の税制 |
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(1) |
法人税の法定納付期限の延長 |
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(2) |
消費税の申告・法定納付期限の延長 |
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(3) |
寄付金の損金算入枠の拡大 |
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(4) |
法人住民税均等割の損金算入 |
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(5) |
印紙税の抜本的見直し・廃止 |
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(6) |
交際費損金不算入の不合理の改善 |
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(7) |
会社が負担する海外個人所得税の非課税化 |
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(8) |
国内源泉所得を租税条約の規定で読み替える場合の、駐在員事務所などでの設備の使用料の除外 |
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(9) |
事業再編における減価償却費・準備金繰入の期中損金算入など届出手続きの見直し |
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(10) |
土地の譲渡等に係る重課制度の廃止 |
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(11) |
地価税の廃止 |
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(12) |
不動産取引に係る税制の特例措置の適用期限の整合化 |
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(13) |
借地権課税における相当の地代価額の引き下げ |
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(14) |
法人税上、未経過固定資産税を資産の譲渡対価として扱わないことの通達による明確化 |
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(地方税関係) |
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(1) |
分割法人における地方税納付先の一本化、納付手続きの簡素化 |
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(2) |
固定資産税・都市計画税の抜本的見直し |
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(3) |
特別土地保有税の廃止 |
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(4) |
法人事業税並びに住民税法人税割の超過税率の撤廃 |
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(5) |
建設工事現場等の法人事業税・住民税に対する課税対象判定期間の改善 |
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(6) |
法人住民税均等割の適正課税 |
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(7) |
事業所税の廃止あるいは事業所税の免税点判定における「みなし共同事業」要件基準の見直し |
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(8) |
連結納税法人に対する地方税中間申告の仮決算方式の導入及び中間申告期限の延長 |
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(9) |
非住宅用地の固定資産税負担の適正化 |
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(10) |
地方税独自課税(法定外普通税等)への対応 |
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(11) |
移転価格税制に係る納税の猶予と延滞税免除 |
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