日本機械工業連合会は経済産業省との共催により平成18年度より「ロボット大賞」表彰事業を実施している。本事業は優秀事例を表彰することによりロボット関係者にモチベーションを与えること、ベストプラクティスの紹介によりロボット技術の普及を図ること、ロボットの社会実装の促進、研究開発の高度化、人材育成等を目的としている。
「ロボット大賞」表彰は、平成21年度からは隔年開催としており、非表彰年度にはロボット産業・技術に係る最新の社会・産業動向等を調査・分析し、問題点・課題を整理し「調査研究報告書」として、報告と提言を行っている。
平成27年度は非表彰年に当たっているが、平成28年度には「第7回ロボット大賞」表彰が開催される予定となっている。今年度は「調査研究報告書」による報告と提言に加えて、政府の方針である「ロボット大賞の拡充」実現の具体策について、ロボット大賞審査・運営委員会で検討を行った。
(2) 実施内容
ロボット大賞審査・運営委員会を3回開催し、以下についての審議を行った。
① ロボット大賞の拡充
平成28年度・第7回ロボット大賞における拡充策を審議した。その結果、平成28年度「第7回ロボット大賞」の実施では、大臣賞は今までの経済産業大臣賞に加え、総務大臣賞他の新たな大臣賞を創設することとした。
中小企業庁長官賞、日本機械工業連合会会長賞、優秀賞は従来通り授与する。募集部門・分野についても、部門と分野を縦・横のマトリックスに組み合わせることとして大幅に拡充し、かつ柔軟性を増すこととした。
部門:(A)ビジネス・社会実装部門 分野:(1)ものづくり分野
(B)ロボット・システム部門 (2)サービス分野
(C)要素技術部門 (3)介護・医療分野
(D)研究開発部門 (4)インフラ・災害対応・建設分野
(E)人材育成部門 (5)農林水産業・食品産業分野
また、平成27年12月2日~12月5日に東京ビッグサイトで開催された「2015国際ロボット展」に「ロボット大賞」のブースを設け「第6回ロボット大賞」受賞ロボットを展示し、広報のため、第6回ロボット大賞ガイドブック、「ロボット大賞」広報リーフレットを作成し配布した。
② 最新のロボット技術動向についての調査研究
今年度活動成果のまとめとして「調査研究報告賞」を作成した。本報告書では以下の事項について調査研究の成果を報告した。
(1) 産業用ロボットとサービスロボットの世界市場及び国内市場の現状。
(2) 「ロボット新戦略」について。
(3) 産業用ロボットのイノベーション。
(4)サービスロボットの開発・普及の現状と課題、災害対応、介護・医療、農林水産業、生活支援ロボット、またドローンの環境整備と法規制について調査・考察を行った。調査・考察に当たっては「ロボット新戦略」とベクトルを合わせるよう留意した。
ロボット開発者・製造者は「調査研究報告書」による成果を、研究・開発方針の策定などに利用できる。また、ロボット使用者はロボットの導入時に情報源として利用することができる。