平成28年度(第37回) 受賞機器の内容と選定理由

平成28年度(第37回) 受賞機器の内容と選定理由

 

【経済産業大臣賞】

 

精度安定を実現した工作機械用電力制御システム(ECO Suite)

鉄道車両用フルSiC適用電力回生・高調波損失低減システム 工作機械は多くの周辺機器を搭載し、加工前の準備、加工後の待機といった非加工時でも2~3kWの電力を消費している。このため、非加工時における周辺機器の停止は電力削減効果が大きい。しかし、冷却装置を停止すると工作機械の温度変化によって加工時の精度が安定しないといった課題があった。

 そこで、機械の温度を監視して精度に影響しない適切な周辺機器の停止タイミングを自動で判断する機能を新たに開発することで、精度安定と電力削減の両立を実現した。すなわち、非加工時の電力を削減する本機能を、サーボ制御による高効率油圧ユニットおよび加工時の周辺機器の電力を最適に制御する機能と組み合わせて使用することにより、非加工時に冷却装置が停止しても加工精度が落ちることなく、電力削減(横形マシニングセンタでは33%)を達成した。

 さらに、消費電力を操作画面に常時表示し、電力削減効果をオペレータがその場で確認できるようにして省エネルギー意識の向上に役立てている。

 本システムを搭載した工作機械は、2015年4月より数機種販売を開始し、2016年11月現在、約7,900台の実績がある。

 

 

【資源エネルギー庁長官賞】

 

耐熱被膜処理を採用したオイルフリースクロールコンプレッサー(SLP-Fシリーズ)

海気象データ利用最適航路探索システム(Sea-Navi) 潤滑剤を使用しないオイルフリーのスクロール空気圧縮機は工場や農場などさまざまな用途で使用される汎用機器である。特に出力が7.5kWクラスはそれ一台で中小企業レベルの工場全体をまかなえる規模であることから、最も需要が多いが、7.5kWクラスの圧縮機は単体では存在せず、これまで3.7kW出力の圧縮機2台を並列に使用することで対応してきた。したがって、7.5kWクラスの単体圧縮機が開発されればコスト減や設置面積の減少につながるが、スクロール圧縮機内部で漏れた空気が再圧縮されることで空気温度が過度に上昇することが課題となっていた。

 本機器は世界で初めて完成された7.5kW出力の単体圧縮機であり、圧縮機内の空気漏れを極力防ぐことで圧縮効率を向上させ、機内温度上昇の課題を解決した。ガスポケットのシール部となる固定スクロールと旋回スクロールの接点での空気漏れを防ぐために、固定スクロール全面を厚さ20~50マイクロメートルの範囲に収まるようにコーティング塗装し、その後旋回スクロールを回転させてコーティング材を削ることでクリアランスを極力減らすことに成功し、圧縮効率を5%〜10%程度に高めた。電動機を誘導機からIE3モータに変更することでさらに効率向上を図り、圧縮効率の向上も含めて最大14%の消費電力の削減を実現するとともに、設置面積も約6%低減した。

  

廃熱回収増大型・低NOxガスコージェネレーションシステム(SGP M450) 

変種変量・ワイドレンジ対応ファイバーレーザマシン(ENSIS-AJシリーズ)

 500kW以下の国産ガスコージェネレーションシステムでは、これまで混合気を冷却するインタークーラで回収した熱をすべて放熱していた。また、排気ガス中のNOx低減のため、後処理として脱硝装置を必要とする事例が多かった。

 本システムは、2段インタークーラと高性能ボイラの採用により廃熱回収量を増大させ、廃熱回収効率、総合効率を著しく向上させた。また、燃焼仕様(エンジンの圧縮比、主室及び副室形状、ターボチャージャ等)の最適化を行い、通常はトレードオフの関係にある発電出力・発電効率の向上と低NOx化を同時に成立させることに成功し、高出力化(380→450kW)、高効率化(世界最高クラスの発電効率42%)を図るとともに、脱硝装置が不要となるレベルの低NOx化も実現できた。

 設置スペースもパッケージ内部のレイアウト見直しなどで30%以上削減できたため、スペース制約のある場所へも導入しやすくなっており、本コージェネレーションシステムの普及により、大幅な省エネルギー、省CO2が期待できる。

 

 

 【日本機械工業連合会会長賞】

 

  海水淡水化設備用2シリンダー・2配圧弁式エネルギー回収装置 

UV-LED複数波長露光式プリント基板直接描画装置(Ledia5)

 海水淡水化設備は、逆浸透(Reverse Osmosis、以下RO)膜法が主流でRO膜に高圧(5~7MPa)の海水を通し、供給した海水の約50%を真水として抽出するが、排水される高濃度海水は高圧のエネルギーを持っていることから、排水過程でこのエネルギーを回収することで、ランニングコストを低減できる。これまではペルトン水車やタービン等で発電機を介して電力として回収していたが、近年はエネルギー変換効率の高いピストンを利用し、直接圧力エネルギーとして回収するシステムが主流となっている。しかしながら、ピストン切り替え時の配圧弁操作に伴う水撃現象やピストン内部での海水と高濃度排水の混合による浸透圧の上昇が課題となっていた。

 本機器はピストン型エネルギー回収システムの改良型機器であり、これまで配圧弁を1つで制御していたところ、配圧弁を2つにして独立に制御することで水撃現象を緩和し騒音を低減した。また、ピストン内部に仕切板を挿入することで、海水と高濃度排水の混合を防止する技術を開発した。

 その結果、RO膜に導入する海水の浸透圧が低減し、高圧ポンプのエネルギー消費が削減され、造水に要するエネルギーの指標SEC(Specific Energy Consumption)値は、世界最高水準の2.3(kWh/m3)の実現が可能となった。

 

 

排温水熱回収型小容量蒸気発生ヒートポンプ

 近年、CO2排出量削減等の要請により、工場の化石燃料使用量削減に対するニーズが強まっている。

大型船舶用ハイブリッド過給機 本機器は、従来、工場から利用されずに排水されていた温度帯60~80℃かつ平均流量500~2,000kg/hの排温水から排熱回収を行い、その熱を利用して120℃の飽和蒸気を発生させるヒートポンプである。従来のヒートポンプの技術的課題として100℃を超える高温領域における冷媒圧縮機の耐久性確保があるが、自動販売機開発で培った独自の冷凍機油冷却技術により耐久性を確保、またサーモサイフォン方式を応用した独自の蒸気発生方式により小型高効率化を図り、120℃蒸気発生を実現した。

 排熱を利用するため、都市ガス蒸気ボイラと比較して、同量の蒸気を発生するのに消費するエネルギーをエネルギーコスト換算で約50%(CO2排出量で約38%)削減できる。また安全でコンパクトであるため、蒸気を使用する生産設備の近傍に設置でき、現場で排熱回収から蒸気供給まで実施できる。

 

 

 ヒーターレス排水蒸発装置搭載冷凍機内蔵型ラウンドショーケース

 近年コンビニエンスストア等でデザートを陳列する機器として設置が増加しているラウンドデザートケースは、オープンスペースが多く、エアカーテンによる効率的な冷却に課題があった。また、設置の利便性から配管工事が不要な冷凍機内蔵型のラウンドデザートケースの設置が増加しているが、このデザートケースでは庫内で生じた凝縮水を内部電熱ヒータの加熱により庫外に蒸散させる必要があった。 

直接感熱方式印刷版製版システム(TDPシステム)

 本機器ではDCインバーター付きの小型圧縮機を搭載し、機器設置空間に余裕を生み出すことで、蒸発器の位置変更と圧縮機吐出管の熱を利用したヒーターレスによる凝縮水の蒸散機能を実現した。

 その結果、冷風の吹き出し方法に柔軟性が生まれて冷気の流れを改善することができ、効率的なエアカーテンによる冷却と圧縮機吐出管温度の低下による冷凍システムの効率向上が同時に図られ、従来機比55%の消費電力量削減を実現した。

 

 

 

倍力リンク機構付きサーボ駆動大型プレスブレーキ(YSP200)  

ヒータ電力ゼロ自動販売機(ハイブリッドZERO)

 これまで大型プレス機の加圧駆動源には油圧ポンプを用いていたが、メンテナンスの大変さや騒音・振動の問題から、近年は油圧式に代わりサーボモータ式が主流となっている。しかしながら、サーボモータ式は油圧式に比べて相対的に加圧力が不足することから、それを補うためには大型サーボモータや大型ボールネジを搭載する必要があり、200トン級のサーボモータ式大型プレス機の開発は採算性の問題も含めて遅れていた。

 本機器はサーボモータ式200トン級大型プレスブレーキであり、独自の加圧倍力化装置を開発することでサーボモータの加圧力不足を補うことに成功した。テコの原理を利用したリンク機構を用いて力を数倍に強化するとともに、ラムの下降速度低下に伴う作業効率の悪化を避けるため、エキセン(偏心)機構を併用して力点近傍までのラム高速駆動を可能とした。油圧式をサーボモータ式に変更することで電力消費量を60%程度削減でき、メンテナンスコストの大幅な削減効果ももたらした。

 

 

小規模ゴミ焼却施設用パネルボイラ式排熱回収発電システム

 国内のごみ焼却施設では処理量が100t/日以下の小規模な施設が多く、費用対効果の点から発電設備の無い施設が全施設の約70%となっているが、資源の有効利用を考えると、こういった施設におけるエネルギー回収が今後更に重要となってくる。

同軸2段引きクロー式真空ポンプ(KCMシリーズ) 本機器は既存施設への設置をターゲットに開発した機器であり、廃熱回収ボイラを取り扱ったことが無い市町村においても不安無く採用できるシンプルな構造とするため、高効率ボイラにあるような複雑な伝熱管を排除し、四面の垂直な水管パネル壁による放射伝熱部で構成することを基本構造とした。その結果、製作コスト及び軽量化による工事コストの削減が達成でき、点検整備および維持管理もし易くなった。

 本機器を設置することで、一般的な小規模のごみ焼却施設で採用されているガス冷却室+空気式熱交換器方式と比較して、排ガスからのエネルギー回収率が約2倍以上となり、買電量(温室効果ガス排出量)の低減に寄与している。

 

 

電気とガスのハイブリッド式過熱水蒸気発生装置(ハイブリッドSHS)

燃焼伝熱同室方式ガス焚き高圧貫流ボイラ・クローズドドレン回収システム 過熱水蒸気とは、沸点を超えた200℃~400℃程度の温度で使用される水蒸気のことであり、加熱調理時に食品の風味を高める効果や、金属・樹脂・セラミック等を短時間で加熱できる特長があるため、工場や家庭の加熱装置やオーブン等で利用が広まっている。しかし、従来のガス燃焼式は精密な温度制御が困難であり、電気式は一次エネルギー効率が低いという課題があった。

 本開発品は、電気式とガス式の長所を組み合わせ、短所を補完する初めてのハイブリッド式過熱水蒸気発生装置である。具体的には、電気・ガスの分担制御による熱出力0~100%の安定的な発生、ガス利用による一次エネルギー効率の向上、電気利用による精密な温度制御の3点を可能としており、従来の過熱水蒸気発生装置に比べて、一次エネルギー消費量35%削減の省エネルギー化を実現した。

 

 

 

 

  

平成28年度(第37回)優秀省エネルギー機器表彰一覧